研究課題/領域番号 |
25460537
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
吉田 真一 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60128113)
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研究分担者 |
飯田 健一郎 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00346777)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | レジオネラ / 糖代謝 / Entner-Doudoroff経路 / diauxie / rpoS |
研究概要 |
レジオネラを培養するためのBYE液体培地にはグルコースを含め糖が入っていない。これはグルコースを培地に加えても増殖が促進されず、さらにレジオネラは炭素源、エネルギー源としてアミノ酸を使っていることが明らかとなり、レジオネラの培養にはグルコースは不要と考えているからである。 しかし、レジオネラはグルコースを利用する代謝経路として、解糖系(Embden-Meyerhof 経路)の代わりにEntner-Doudoroff 経路を持っていることが明らかとなり、さらに私たちは Legionella pneumophila がホスト真核細胞(マクロファージ系細胞、上皮細胞、アメーバ)内で増殖するには Entner-Doudoroff 経路が必須であることを明らかにした(2010年)。今回、in vitro でグルコースの消費が起こらないかどうかを長時間培養して検討したところ、レジオネラが late log phase から early stationary phase に入る時期にグルコースが消費されることが明らかとなった。このin vitroでの栄養源の switching は細胞内での栄養源の switching 研究のモデルになると考えられ、まずこのin vitroでの switching に注目し解析を行った。 rpoS 遺伝子は細菌の培養が stationary phase に移る際に活性化される遺伝子である。私たちはまずrpoS 遺伝子がin vitro での栄養源切りかえに機能しているのではないかと考え、rpoS ノックアウト株を作製して、グルコースの消費を見たところ、野生株による消費の中間程度の消費が見られた。 この結果は栄養源の切りかえにrpoS が関係しているが、その他にも関係する遺伝子があることを示唆している。 現在その遺伝子を検索中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞内での栄養源の switching の解析モデルとなるであろう現象を in vitro で観察したので、in vitro での解析を進めそれを細胞内での栄養源 switching の解析に応用する見通しがついた。
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今後の研究の推進方策 |
in vitro での栄養源の switching に rpoS 遺伝子が関係していることがわかった。今後 rpoS 遺伝子以外の遺伝子が関与しているかどうか、diauxie に関与するcAMP-recepter protein (CRP) や、アミノ酸枯渇に関与する ppGpp やその産生系に焦点をあてて研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物実験室利用料支払いのため余裕を持たせていたが、6000円ほど残ったもの。 ほぼ計画通りに進んでいるので、今後も継続してin vitroでの栄養源 switching に rpoS遺伝子以外の遺伝子が関与しているかどうか、また、diauxy に関与する cAMP-recepter protein (CRP) や、アミノ酸枯渇に関与する ppGpp やその産生系に焦点をあてて研究を進める。
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