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2013 年度 実施状況報告書

腸管出血性大腸菌における志賀毒素高産生型ファージの分布解明とハイリスク系統の同定

研究課題

研究課題/領域番号 25460542
研究種目

基盤研究(C)

研究機関宮崎大学

研究代表者

小椋 義俊  宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 助教 (40363585)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード腸管出血性大腸菌 / O157 / non-O157 EHEC / 志賀毒素 / ファージ
研究概要

腸管出血性大腸菌(EHEC)の主要な病原因子は志賀毒素(Stx)である。Stxには、Stx1とStx2が存在する。特にStx2が重症化リスクファクターであるが、Stx2産生量は血清型や株ごとに異なる。stx遺伝子はファージ上にコードされているが、申請者は、Stx2ファージには高度なゲノム多様性が存在すること、Stx2ファージはいくつかのタイプに分類でき、そのタイプによってStx2産生量が異なることを先行研究で明らかにしている。本研究では、O157を含む主要な血清型のEHEC 約600株について、大規模な高解像度系統解析とStxファージのタイピングを行い、Stx2高産生型ファージを持つ株が分布する血清型とその系統を明らかにする。さらに、患者の症状などのメタ情報も統合し、EHECハイリスク系統の同定を試みる。
H25年度は、主にO157の菌株収集とシーケンスを行った。全国6カ所の地方衛生研究所の協力を得て、過去10年間に分離されたO157を約300株収集した。現在までに、MiSeqによるシーケンス、全ゲノム情報に基づく高解像度系統解析、Stx2ファージのサブタイピングまでを終了しており、Stx2高産生型ファージを保有する4つのO157クレードを同定した。現在、これらの株についてStx2産生量の定量を行っているところである。また、non-O157 EHECについては、100株の収集を終えており、現在、追加で収集しているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

H25年度は、研究計画通り、約300株のO157の収集、シーケンス、高解像度系統解析、Stx2ファージサブタイピングまでを終えており、Stx2高産生型ファージを保有する4つの主要系統を同定した。non-O157 EHECについては、300株収集する予定であったが、現在までに100株の収集にとどまっている。non-O157 EHECでは、O157比べ症例数が少ないこととStx2陽性株の割合が少ないために、多数の菌株の収集は難航しているが、より多くの地方衛生研究所に協力を要請し、H26年度中には300株の収集を目指す。

今後の研究の推進方策

今後は、残りのnon-O157 EHECの収集に加えて、研究計画書通りに、以下の解析を行う。
(1) non-O157 EHEC の300株の次世代シーケンサによるゲノム配列の取得と高解像度系統樹の作製:O157と同様にMiSeqを用いてゲノムシーケンスを行う。申請者は、以前にO26, O111, O103の全ゲノム配列を決定しており、現在、O145、O121、O165についても、全ゲノム配列を決定中である。これらの配列をレファレンスとして、SNPsを同定し、高解像度系統樹を作成する。
(2) non-O157 EHECの300株のStx2ファージのサブタイピング:O157の解析により構築した方法で、各non-O157 EHECのStx2aファージタイピングを行う。
(3) O157 300株とnon-O157 EHEC 300のStx2産生量の定量:ラテックス凝集反応法(VTEC-RPLA, デンカ生研)を用いて、Stx2産生量を測定する。先行研究で同定したStx2高産生型ファージφStx2a_β2を保持する株のStx2産生量が他より有意に高いことを確認するとともに、新規のStx2aファージタイプの中から、Stx2産生量が高いものが同定されることも期待される。
(4)EHECハイリスク系統の同定と迅速識別法の確立:各血清型の系統間での重症化率の統計解析を行い、EHECハイリスク系統を同定する。Stx2高産生型ファージ保有株が分布する系統とEHECハイリスク系統が一致することを想定しているが、一致した場合は、Stx2ファージタイプ(Stx2産生性)が重症化に強く関与していることが証明できる。各ハイリスク系統に特異的な遺伝子をMiSeqデータから抽出し、それをPCRで検出する系とStx2aファージタイピング系を組み合わせることで、EHECハイリスク系統の迅速識別法を確立する。

次年度の研究費の使用計画

当該年度にnon-O157 EHECを300株収集する予定であったが、100株の収集にとどまった。そのため、菌株の輸送・培養・保存に関わる費用が不要となった。
次年度に、残りの200株の菌株収集を行うため、その分の経費が必要となる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] Extensive phylogenomics revealed a clonal expansion of EHEC O26 in Japan.2014

    • 著者名/発表者名
      Y. Ogura, T. Hayashi
    • 学会等名
      第87回日本細菌学会総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20140326-20140328
    • 招待講演
  • [学会発表] ファイロゲノミクスによる腸管出血性大腸菌の優勢系統群および志賀毒素高産生性系統群の同定2014

    • 著者名/発表者名
      小椋義俊、桂啓介、伊藤武彦、Mainil Jacques、吉野修司、磯部順子、勢戸和子、江藤良樹、富永潔、緒方喜久代、楠本正博、黒木真理子、木全恵子、前田詠里子、亀山光博、成松浩志、秋庭正人、矢端順子、後藤恭宏、大岡唯祐、林哲也
    • 学会等名
      第8回日本ゲノム微生物学会年会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20140307-20140309

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公開日: 2015-05-28  

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