研究課題
本研究は、O157を含む主要な血清型の腸管出血性大腸菌(EHEC)の約600株について、高解像度系統解析とStxファージのタイピングを行い、Stx2高産生型ファージを持つ株が分布する血清型とその系統を明らかにすることを目的とする。前年度までに、全国6カ所から過去10年間に分離されたO157、約300株の収集し、MiSeqによるシーケンス、全ゲノムに基づく高解像度系統解析、Stx2ファージのサブタイピングまでを行っている。今年度は、その300株について、Stx2産生量の定量をVTEC-RPLA(生研)を用いて行った。これらの結果を統合することで、O157の4つのStx2高産生系統を同定することができた。また、Stx2を保有する血清型として、O157に次いで症例数や重症患者数の多いO145、O121、O165の血清型に属する菌株を各50株収集し、MiSeqでドラフト配列の取得を行った。
3: やや遅れている
O157の300株のVTEC-RPLAは、一度に8株の測定が限界であり、結果が出るのに2日かかる。その上、再現性の高い結果を得るため、3回以上の測定を行ったので、すべての株の測定にはかなりの時間を要した。
O145、O121、O165の各50株について、すでにドラフト配列を取得済みなので、高解像度系統を行うと共に、各株のStx2ファージの配列を決定し、ファージの比較解析とグルーピングを行う。同時に、Stx2産生量の定量を行い、Stx2高産生型ファージを同定すると共に、Stx2高産生型ファージが部分布する系統群を明らかにする。また、その他のマイナーEHECについても、同様の解析を行う予定である。
8,840円の次年度使用額が生じたが、ほぼ計画通りに予算を使用している。
次年度使用額の8,840円を加えて、次年度の予算は、non-O157 EHECのドラフト配列決定のために、MiSeq関係の消耗品に充てる他、non-O157 EHECのStx2ファージの配列決定(PCR試薬、キャピラリーシーケンサー用試薬)、Stx2産生量の定量(RPLA用試薬)に主に使用する予定である。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
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