研究課題
Mycobacterium avium-intracellulare complex (MAC) 症の主要起因菌であるMAC菌は、菌体総脂質を弱アルカリ加水分解して得られた糖ペプチド脂質抗原 (glycopeptidolipid, GPL) の糖鎖構造と血清反応の違いから28種類の血清型に分類されている。通常、MAC菌は、GPL糖鎖水酸基の一部がアセチル化された天然型GPL (intact GPL) を有している。MAC臨床分離株Ku11のGPLは、糖鎖構造がRha-2-O-methyl Rha-Rha-Rha-Rha-6-deoxy Talからなる新規GPLであること、アセチル化パターンの異なる6種類のintact GPLを報告した。今回は、Ku11株が含有するintact GPLのアセチル化パターンと宿主応答について検討した。Ku11株のintact GPLは、MALDI-TOF MSによって構造解析を行った。宿主応答の評価は、ヒトToll-like receptor (TLR) 2およびTLR4遺伝子を導入したHEK293細胞およびマウスマクロファージ系細胞株RAW264.7細胞を用いて実施した。MALDI-TOF MS解析の結果、Ku11株のintact GPLは、6-deoxy Talおよび2-O-methyl Rhaに1から3個のアセチル基が結合し、その結合位置と結合数の違いにより6種存在した。2-O-methyl Rhaにアセチル基修飾がないintact GPLは、TLR2を介して宿主認識されたが、アセチル化2-O-methyl Rhaを持つintact GPLは、TLR2によって宿主認識されなかった。このことから、TLR2による認識を回避するために、Ku11株はGPL糖鎖の2-O-methyl Rhaをアセチル基で修飾している可能性が示唆された。
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Biochem. Biophys. Res. Commun.
巻: 485(2) ページ: 461-467
10.1016/j.bbrc.2017.02.048.
Int. J. Syst. Evol. Microbiol.
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