研究概要 |
動物及びヒト消化管に生息し、体外に排泄されるブドウ球菌の実態を解明するために各種検討を行い、以下の結果を得た。 [1]ウシ(18検体)、豚(11検体)及びニワトリ(5検体)の内蔵肉より、オキサシリン及びセフォキシチン含有マンニット食塩寒天平板に生育する菌を分離した。 ウシ10検体、豚7検体、ニワトリ1検体よりmecA遺伝子を保有するブドウ球菌属菌が多数検出された。検出された主な菌種はS. fleurettii, S. sciuri, S.lentis, S.warneri, S. epidermidis, S. hominis, S. saprophyticusであり、S. aureusは見出されなかった。 [2] 某畜産研究施設(匿名希望)の24頭のウシ糞便より内蔵肉の場合と同様にオキサシリン及びセフォキシチン含有マンニット食塩寒天平板に生育する菌を分離した。17頭の糞便よりmecA遺伝子を保有するブドウ球菌属が多数検出された。主な菌種はS. cohnii, S. sciuri, S. fleurettiiであり、S. aureusは見出されなかった。 [3] 小児科医師との共同プロジェクトとして小児糞便に含まれるMRSAを検討した。倫理委員会許諾後、鼻腔スクリーニングによりMRSA陽性と判定されたNICU入院患児の21名の糞便及び鼻腔より、オキサシリン及びセフォキシチン含有マンニット食塩寒天平板に生育する菌を分離した。MRSA保菌小児糞便中は103-108 CFU/gと多量のMRSAが含まれていた。SCCmecタイプ及びMLSTの決定、POT法により検討した結果から 鼻腔に保菌される菌と、糞便中に排出される菌は同一のクローンに属すると推定された(Nakao et al. ARIC in press.)
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