研究課題/領域番号 |
25460550
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
小出 直樹 愛知医科大学, 医学部, 教授 (50308962)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エンドトキシン / CREB / 炎症性サイトカイン |
研究実績の概要 |
敗血症ショックや炎症性腸管疾患のマウスモデルでは、樹状細胞、マクロファージが病態の早期に重要な役割を果たすことが報告され、とくにそれらが炎症惹起初期に産生する炎症性サイトカインのTNF-alphaや一酸化窒素の重要性が示唆されている。CREBは転写因子として、NF-kBとともによく知られているが、上記のマウスモデルではその関与について詳細なことはわかっていない。今回、樹状細胞、マクロファージの一酸化窒素合成酵素やTNF-の発現におけるCREBの役割について、CREBを制御する調節因子に着目し、病態への関与を調べることを目的とした。当初、CREB制御分子(CREM)の一つICERのノックアウトマウスを用いて、CREBのエンドトキシンによる炎症惹起への関与について、調べることを予定していたが、入手・作成が困難なことがわかり、途中で、CREBの特異的阻害剤になりうる分子を探したところ、コノフィリンを見つけて、CREBのエンドトキシンによる炎症惹起への関与について調べることができた。コノフィリンはエンドトキシンやRANKLによって誘導されるマクロファージの破骨細胞への分化を抑制し、それがCREBを介したNF-AT1cを経由したものであることを明らかにした。さらに、CREBの制御する上流の分子を特異的に阻害する分子を探したところ、DTCM-glutarimideという分子が、Aktを介して、NF-kBを抑制する新規分子であることがわかり、エンドトキシンやRANKLによって誘導されるマクロファージの破骨細胞への分化を抑制することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
敗血症ショックや炎症性腸管疾患のマウスモデルでは、樹状細胞、マクロファージが病態の早期に重要な役割を果たすことが報告され、とくにそれらが炎症惹起初期に産生する炎症性サイトカインのTNF-alphaや一酸化窒素の重要性が示唆されている。CREBは転写因子として、NF-kBとともによく知られているが、上記のマウスモデルではその関与について詳細なことはわかっていない。今回、樹状細胞、マクロファージの一酸化窒素合成酵素やTNF-alphaの発現におけるCREBの役割について、CREBを制御する調節因子に着目し、病態への関与を調べることを目的とした。当初、CREB制御分子(CREM)の一つICERのノックアウトマウスを用いて、CREBのエンドトキシンによる炎症惹起への関与について、調べることを予定していたが、入手・作成が困難なことがわかり、途中で、CREBの特異的阻害剤になりうる分子を探したところ、コノフィリンを見つけて、CREBのエンドトキシンによる炎症惹起への関与について調べることができた。コノフィリンはエンドトキシンやRANKLによって誘導されるマクロファージの破骨細胞への分化を抑制し、それがCREBを介したNF-AT1cを経由したものであることを明らかにした。さらに、CREBの制御する上流の分子を特異的に阻害する分子を探したところ、DTCM-glutarimideという分子が、Aktを介して、NF-kBを抑制する新規分子であることがわかり、エンドトキシンやRANKLによって誘導されるマクロファージの破骨細胞への分化を抑制することを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
今回の研究過程でみつかったコノフィリンやDTCM-glutarimideが、他のエンドトキシンを用いた炎症惹起モデルに、どのように働くかを調べ、どのような疾患モデルに有効と考えられるかを調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
健康上の理由により、実験ができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
今回の研究過程でみつかったコノフィリンやDTCM-glutarimideが、他のエンドトキシンを用いた炎症惹起モデルに、どのように働くかを調べ、どのような疾患モデルに有効と考えられるかを調べる。さらに時間があれば、エンドトキシンによるインターフェロンなどのサイトカインシグナルへの抑制効果について、CREBを含めどんな分子がエンドトキシンで誘導され、サイトカインシグナルに抑制に働くかを調べる予定である。
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