研究課題
基盤研究(C)
肺炎球菌は小児や免疫力が低下した高齢者では敗血症、髄膜炎などの侵襲性感染を引き起こす。日本では高齢者用のポリサッカライドワクチンと小児用の結合型ワクチンが導入されているが、ワクチンに含まれない血清型の菌が優性になる血清型交代現象による肺炎球菌ワクチンのワクチンカバー率の低下が大きな問題となっており、夾膜の血清型に依存しない次世代ワクチンの開発が急務である。本研究では次世代ワクチンの開発のために必要な分子基盤を構築することを目指し、肺炎球菌の病原因子の機能と肺炎球菌感染の発症機序の解明を目的とした。27種類の肺炎球菌由来の病原遺伝子をHeLa細胞に異所的に発現させ、その局在パターンや細胞の形態変化を検討した。その結果、異所的に発現させた病原因子の細胞内での局在パターンは「ER」、「核膜および核内」、「細胞質」、「細胞内で凝集体形成」の5パターン分類された。特に、PsaAは核膜および細胞膜への局在が認められ、顕著な細胞の形態変化が認められた。現在、特徴的な局在を示した病原因子に関して機能解析を行っている。次に、肺炎球菌の細胞内における肺炎球菌の細胞内生存性を解析するために、実験に用いる肺炎球菌菌株および培養細胞の選定、肺炎球菌の安定培養法の構築、変異株作成法の構築、培養細胞を用いた感染実験系の構築、免疫染色法の構築を行った。様々なキャリブレーションの結果、肺炎球菌をin vitroで培養細胞に感染させて細胞内動態を解析するために必要な実験系の構築が終了した。現在までに、肺炎球菌が細胞内で生存するために必要な因子、肺炎球菌を殺菌するために必要な宿主側の因子が同定された。
1: 当初の計画以上に進展している
本研究では次世代ワクチンの開発のために必要な分子基盤を構築することを目指し、肺炎球菌の病原因子の機能と肺炎球菌感染メカニズムの解明を目的とした。27種類の肺炎球菌由来の病原遺伝子をHeLa細胞に異所的に発現させ、その局在パターンや細胞の形態変化を検討した結果、5つの局在パターン分類されることが明らかになった。次に、肺炎球菌の細胞内における肺炎球菌の細胞内生存性を解析するために、in vitro解析に用いる菌株・細胞株の選定、肺炎球菌の安定培養法、変異株作成法、培養細胞を用いた感染実験系の構築、抗体免疫染色法の構築を行った。肺炎球菌は易溶菌性のため扱いにくい菌の代表として知られているが、本年度の研究成果により肺炎球菌をin vitroで培養細胞に感染させて細胞内動態を解析するために重要な技術基盤が構築された。
HeLa細胞を用いた異所的発現解析の結果特徴的な局在が認められた病原因子に関して、生化学的な機能解析を行うと共に、その変異株を作製し培養細胞内における動態を解析する予定である。さらに、現在までに同定している肺炎球菌が細胞内で生存するために必要な因子、肺炎球菌を殺菌するために必要な宿主側の因子に関して、さらに詳細な解析を行い肺炎球菌の細胞内生き残り戦略、および肺炎球菌に対する宿主の防御機構を明らかにする予定である。
2月より3社のシーソーシェーカーについてデモを行ってきたが、デモ品の納入が当初の予定よりもずれ込みその評価が年度を越えてしまったため。3社デモをした結果、最終的に1社に選定が終了している。6月中にシーソーシェーカー納品される予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Epidemiology and Infection
巻: 未定 ページ: 未定
PLoS One
巻: 8 ページ: e81095
10.1371/journal.pone.0081095
Cell Host Microbe
巻: 13 ページ: 570-583
10.1016/j.chom.2013.04.012.