研究課題
HIVの中枢であるRNAゲノムがウイルス構造蛋白Gagとの相互作用によって粒子に取り込まれるパッケージングは、ウイルス制圧の非常に重要な標的となり得るステップである。しかしウイルス酵素や外被蛋白と異なり、RNAあるいはRNA-Gag結合を標的とした薬剤開発は非常に遅れている。そこで未だ不明な点の多いパッケージングプロセスを解明して抗ウイルス戦略の足がかりを築くことを目的とした。HIVの感染性分子クローンを題材に独自に構築したパッケージングプロセス周辺の現象の解析系(パッケージング、ゲノム二量体化、ゲノム組換え等)を駆使し、HIVの変異体解析を中心に研究を進めた。結果を基に計算機科学を援用したRNA構造モデル構築も行った。HIVゲノム二量体化における最重要領域であるゲノムRNA5’端非翻訳領域のパッケージングシグナル内に存在するステム-ループ1(SL1)に着目し、点置換変異導入によりその機能的構造に関する詳細な解析を行った。解析の結果SL1はこれまでの構造予測と異なるバルジ・ループ・ステム構造をとることで様々な機能を発揮している可能性が示唆された。この結果を元に、計算機科学による新規RNA構造モデル構築を試みた。また、HIVの遺伝的多様性を生み出す原動力の一つであるゲノム組換え現象についても独自の解析系を構築して、組換えに必要な重要なパラメーターを算出することに成功した。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件)
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