研究課題
基盤研究(C)
本年度は、SAFV感染受容体の探索を最終目的とし、ヒト子宮頸がん由来細胞株HeLa細胞を異なる培養条件(FCS 添加MEM または CS添加MEM)にて培養し、SAFV感受性の異なるHeLa細胞を作出した。感受性細胞の培養維持条件を調節することでSAFVに対する感受性を変化させることのできるこの現象は、申請者らが世界で初めて報告した知見である。このSAFV感受性の異なる2種の細胞(FCSで培養したSAFV高感受性細胞:HeLa-N、CSで培養したSAFV低感受性細胞:HeLa-R)からそれぞれtotal RNAを抽出・精製し、DNAマイクロアレイ Human Gene 1.0 ST array (Affimetryx) にて、遺伝子発現の変化を網羅的に比較解析した。その結果、HeLa-N細胞において遺伝子発現が2倍以上高値であることが確認される141の遺伝子群が明らかとなり、さらにこのうち、膜タンパクをコードすると考えられる遺伝子をIngenuity Pathways Analysisソフトウェア(トミーデジタルバイオロジー)にてスクリーニングしたところ、SAFV感染受容体をコードする候補遺伝子として、58種の膜タンパク遺伝子がリスト化された。現在、これらの遺伝子を各々発現ベクターにサブクローニングし、SAFV非感受性細胞(シリアンハムスター胎児腎臓由来細胞株BHK-21細胞)への発現系を構築している段階である。
1: 当初の計画以上に進展している
当初の計画では、SAFV感受性の異なるHeLa細胞の作出からSAFV感染受容体候補分子のリストアップまでを初年度の計画としていたが、現在では既に各々の遺伝子のサブクローニングに取り掛かっている状況である。故に、若干ではあるが当初計画より進展しているといえる。
現段階では計画通り順調に研究が進展していることから、引き続き計画通りにサブクローニングの継続と受容体発現系の作出を試みる。また並行して、抗体の市販されている分子については、ブロッキングアッセイを実施しその可能性を検討していく。
当初購入を予定していた消耗品の予算は、予備分を見込んで計画を立てていた。しかし今年度の研究計画が順調に進展し、予備の消耗品を購入する必要がなかったため、大幅に予算を抑えることができた。同定された58遺伝子が予想より多かったため、その後のスクリーニングにかかる消耗品が当初の計画より大幅に必要となる。繰り越し分はその経費に充てる。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)
PLoS ONE
巻: 8 ページ: e53194
10.1371/journal.pone.0053194
巻: 8 ページ: e60510
10.1371/journal.pone.0060510
Clin Exp Neuroimmunol
巻: 4 ページ: 163-164