研究実績の概要 |
SAFV感染受容体の同定を目的とし、異なる培養条件でSAFV感受性の違いを誘導したHeLa-N細胞(FCS添加培地で培養、SAFV高感受性)とHeLa-R細胞(CS添加培地で培養、SAFV低感受性)【Himeda et.al. PLoS ONE 8(4): e60510, 2013】との間で、2倍以上の発現差の認められた58種の膜タンパク遺伝子を対照に、SAFV感染受容体であるか否かについて、発現系およびブロッキングアッセイにより個別に解析した。発現系を用いた解析では、58遺伝子中55遺伝子においてクローニングに成功し、SAFV非感受性細胞に発現させたが、SAFVの感染は認められず受容体の同定には至らなかった。また、入手可能であった抗体を用いたブロッキングアッセイからもSAFV感染受容体を同定することは出来なかった。しかし、55遺伝子をランダムにグループ分けしてSAFV非感受性細胞に共発現させたところ、7つの遺伝子の組み合わせ【Ras association domain family member 5 (RalGDS/AF-6), IL-27 receptor alpha (IL27RA), receptor activator of NF-kB (TNFRSF11A), desmocollin 2 (DSC2), platelet/endothelial cell adhesion molecule (PECAM-1), odd Oz/ten-m homolog 3, chondroitin sulfate proteoglycan 4 (CSPG4)】で発現させた細胞において、一部、SAFVの感染(SAFV感受性の獲得)が認められた。ただし、7遺伝子の共発現で必ずしもSAFV感受性が認められるものではなかったことから、これらの遺伝子のある組み合わせかつ適した分子比での発現がSAFV感受性には必要である可能性が示唆された。本研究期間中にSAFV感染受容体の同定に至ることは出来なかったが、得られたデータは、SAFV感染受容体同定において重要な知見であると考えられる。
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