研究課題
インフルエンザウイルスは、人類にとって大変な脅威であり近年も新型が出現し流行した。そのため、新規抗インフルエンザ薬の開発は重要である。C60アナログの活性評価をしながら、新しい抗インフルエンザ化合物についても探索した。バクチオールは、マメ科の植物であるオランダビユから単離された天然有機化合物である。そこで、本研究では、バクチオールが新規抗インフルエンザ薬開発のためのリード化合物となり得るかを探るため、インフルエンザウイルス感染・増殖阻害効果を検討した。天然型或いは天然型の光学異性体である非天然型バクチオールと種々のA型インフルエンザウイルス株を共にインキュベーションしイヌ腎臓尿細管上皮由来細胞(MDCK)株に作用させることで感染及び増殖阻害作用を調べた。A型インフルエンザ感染において、ウイルス核タンパク質であるNPの免疫抗体染色を行った結果、NPタンパク質染色細胞数は、コントロール群及び非天然型バクチオール処置群と比較し、天然型バクチオール処置群で有意に減少した。次に、感染後の培養上清中のウイルス量を経時的に測定した結果、コントロール群及び非天然型バクチオール処置群と比較し、天然型バクチオール処置群で有意に減少した。以上より、天然型バクチオールは、インフルエンザウイルス感染・増殖阻害効果を有することが判明した。光学異性体である非天然型バクチオールは天然型と比較し、ウイルス感染・増殖阻害効果が減弱したことから、これらの効果に光学活性が重要であることが示唆された。バクチオールは、新規抗インフルエンザ薬開発のためのリード化合物として期待される。さらにPAエンドヌクレアーゼ活性を阻害する化合物として、フラーレン及びシアロ糖鎖を含む誘導体等を見出した。また、葛根湯及び麻黄湯、柴胡桂枝湯、竹如温胆湯、桂枝湯、小柴胡湯、麻黄附子細辛湯等の漢方薬もPAエンドヌクレアーゼ活性を阻害した。
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