研究課題
基盤研究(C)
レポーター細胞株を用いて同定した抗サイトメガロウイルス(CMV)、抗水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)化合物各数種の作用機序を解析し、新規薬剤開発を進めるとともに、ウイルス増殖過程に関与するウイルス及び宿主因子を解析することが本研究の目的である。得られた成果は以下の通り。1) 抗VZV化合物7種類の中で、3化合物がVZVと同程度に、3化合物が弱く、抗HSV活性を示した。VZVにのみ効果があった141B3の類似化合物をいくつか用意し、チオフェン基側鎖をベンゼン基にした化合物のみが、EC50が2-3倍程度悪くなるものの抗VZV活性を有することを示した。ベンゼン基のパラ位をフルオロ化もしくはニトロ化した場合、活性が失われた。2) 抗VZV化合物141B3に対する耐性株候補の作出に成功したが、抗CMV化合物DPPCの耐性株は得られなかった。3) 133G4及び類似する2化合物は、HSV,VZV,CMVの増殖を阻害した。転写活性化因子であるCMV IE2及びVZV IE62による初期及び後期遺伝子の発現誘導を広範に阻害した。VZV IE62の161アミノ酸残基の活性化ドメインのGAL4融合蛋白により、GAL4結合配列のみしか持たないプロモーターで転写活性化が見られ、133G4はTATA配列特異的にこれを阻害した。TATA結合蛋白TBPのDNA結合ドメインとGAL4融合蛋白は、GAL4単独に比して、IE2やIE62によるプロモーター活性化の程度が上昇したが、依然133G4による阻害を受けた。従って、TBPを含む複合体形成ではなく、ポリメラーゼII複合体形成過程を133G4は阻害すると考えられ、ChIPアッセイにおいて、そのことが確認された。4) VZVのカプシド形成を阻害する35B2の類似化合物を9種類用意し、3化合物が弱い活性を保持しているが、残りは活性がないことを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
複数のプロジェクトを同時進行させており、大半が順調に進行しているが、DPPCに対する耐性株の作出がうまくいかなかったことや、35B2の変異を導入したVZV-BACの構築が思ったよりも時間がかかっていることなどが計画に対し遅れた部分となっている。
25年度の継続を含め、当初の計画通り研究を行う。なお、VZVと同じVaricellovirus属のウマヘルペスウイルス1型に対して同定した抗VZV化合物が効果を有するかを検討することを計画に加える。
残額が小額で実際に必要で購入できる物品に制約があるため、次年度予算とあわせて使用することとした物品費の一部とする。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (1件)
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