研究課題
レポーター細胞株を用いて同定した抗サイトメガロウイルス(CMV)、抗水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)化合物各数種の作用機序を解析し、新規薬剤開発を進めるとともに、同時に、ウイルス増殖の各過程に関与するウイルス及び宿主因子を解析することが本研究の目的である。本年度得られた成果は以下の通り。1) 抗CMV化合物35C10は、選択指標(SI)が10以上の特異性があること、ウイルス粒子の細胞への吸着は阻害せず、一方で前初期蛋白の発現を阻害することから、ウイルスの侵入から前初期蛋白発現までの間のステップを阻害する新規作用点を有する化合物であることを明らかにした。また、ヒトCMVにのみならず、マウスCMVに対しても抗ウイルス活性を示した。また、35C10の側鎖のひとつメトキシ基をクロル基やフッ素基に置換した化合物では抗ウイルス活性が低下したため、この側鎖が活性に関与することが示された。一方、別の側鎖のアミノ基が失われた35C10-3では、抗ウイルス活性は低下しなかったが細胞毒性のため、SIが8程度になった。2) 抗CMV化合物131G4はヘルペスウイルス前初期蛋白の転写活性化を阻害することを昨年度明らかにしたが、この阻害はヒト及びアカゲザルの線維芽細胞及び上皮細胞株では見られるがモルモットやマウスなどげっ歯類由来の細胞株では見られないことから、宿主依存性があることを明らかにした。3) 抗VZV化合物45B5及び上記35C10に対する耐性株候補の作出に成功した。現在、変異の同定を進めている。4) VZVと同じVaricellovirus属のウマヘルペスウイルス1型に同定した10種類の抗VZV化合物が効果を有するか検討した結果、41E2がヒト、ウマ、マウスの細胞株でウマヘルペスウイルス1型の増殖を阻害することを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
複数のプロジェクトを同時進行させており、大半が順調に進行しているが、化合物ごとの解析になりがちであるため、一部に進展が遅れているプロジェクトがある。
26年度の継続を含め、当初の計画通り研究を行う。特に、耐性株のゲノム配列解析から作用機序を明らかにすることに重点を置く。
残額が少額で実際に必要で購入できる物品に制約があるため、次年度予算とあわせて使用することとした
物品費の一部とする
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
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