研究課題
レポーター細胞株を用いて9600化合物から同定した抗サイトメガロウイルス(CMV)、抗水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)化合物各数種の作用機序を解析し、新規薬剤の開発を進めるとともに、ウイルス増殖の各過程に関与するウイルスおよび宿主因子を解析することが本研究の目的である。本年度の成果は以下の通り。1) 抗VZV化合物45B5は、臨床分離株、アシクロビル耐性株、35B2耐性株のいずれにも効果があった。一方、昨年度作出した45B5耐性株は、いずれの株でもEC50が3-5倍程度になっていた。2) 45B5耐性株のひとつについて、全翻訳領域の塩基配列を決定したところ、感受性である親株に比して13箇所に塩基配列変異が同定され、そのうちORF54、ORF48、ORF50、ORF16、ORF23、ORF36の6遺伝子にアミノ酸変異が同定された。他の耐性株7株について、これらの6遺伝子の配列を検討したところ、カプシド構成蛋白でありウイルスゲノムDNAの出入口に当るポータル蛋白をコードするORF54遺伝子に共通して変異が見られた。45B5は少なくともDNA複製もしくはそれ以前の過程を阻害したこと、単独発現させたポータル蛋白の細胞内局在やそのscaffold蛋白(ORF33がコード)との相互作用には45B5は影響を与えなかったことなどから、カプシドから核内にDNAを注入する過程を阻害する新規の作用機序を有する抗ウイルス化合物と考えられた。3) VZVおよびCMV両方に抗ウイルス効果を示す133G4は、前初期蛋白IE62、IE2による初期蛋白発現を阻害している。IE62の転写活性化ドメインのみを用いた解析でも効果を示すことから、宿主の転写因子とIE62の相互作用を阻害すると考え、候補となるTBP、USF1、Med25について解析したが、いずれとの相互作用も阻害しないことから、これまで考えられていない機序で阻害すると思われた。
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http://sv1.gifu-pu.ac.jp/lab/kansen/