研究課題/領域番号 |
25460579
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
有田 峰太郎 国立感染症研究所, その他部局等, 研究員 (70356244)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 抗ウイルス薬 / エンテロウイルス / ポリオウイルス / 複製 / 宿主因子 / PI4KB / OSBP |
研究概要 |
抗PV活性を示す化合物を同定するために、6万化合物のスクリーニングを行い、360個程度のヒット化合物が得られた段階である。現在、細胞毒性を検討しているところである。 抗PV化合物の代表的な群の一つであるenviroxime様化合物群(PI4KB/OSBP経路阻害剤)の抗PV活性の阻害機構の解析を行った(H27年度実施予定実験の一部)。その結果、PI4KBはOSBPをウイルス感染で誘導される膜上に誘導するためのPI4Pを産生していること、OSBPがこの膜上にコレステロールを蓄積すること、PI4KB/ OSBP経路はウイルスのRNA合成そのものではなくウイルスの複製複合体の形成に関与していることが示唆された。 また、VCP/p97に関する解析(H27年度実施予定実験の一部)を行った。VCP/p97が結合するウイルスタンパク質2C上の領域はアミノ酸75-329の領域であり、一部PI4KBの結合領域(2C上のアミノ酸1-74および276-329)と重なっていた。興味深いことに、VCP/p97とウイルスタンパク2Cとの相互作用が、グアニジン塩酸塩処理で上昇することを見出した。グアニジン塩酸塩はPI4KB-2Cの相互作用にはほとんど影響しなかったことから、グアニジン塩酸塩の作用はVCP/p97-2Cの相互作用に特異的であることが示唆された。グアニジン塩酸塩は2CのATPase活性を阻害することが報告されているが、2CのATPase活性の阻害とウイルス複製阻害の直接の関係については結論が出ていない。今回見つけた現象は、グアニジン塩酸塩による2Cの阻害にVCP/p97が関与している可能性を示唆する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたスクリーニングが順調に完了した。 また、H27年度実施予定の実験を一部行うことが出来た。
|
今後の研究の推進方策 |
予定通りに推進する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
年度末における事務手続き処理の遅れのため、年度末の試薬の発注を行えなかったために、次年度使用額が生じた。 次年度に発注を行う。実際の研究遂行には影響はほとんどない。
|