研究課題
基盤研究(C)
EV71キャプシド標識については、標識しても力価低下が少なく蛍光顕微鏡下でライブイメージングが可能となる程度に高輝度な標識が可能となった。EV71ゲノム標識については、以前よりも力価の高い標識ウイルス作製が出来るようになった。PVのキャプシドとゲノムを両方標識したウイルスも作製出来、蛍光顕微鏡下運動神経軸索内で逆行性輸送の観察が可能であった。PVのキャプシドとゲノムは両方が同一小胞内で逆行性輸送されており、ゲノムのみが輸送されている小胞は観察出来なかったことから、PVの神経経路では粒子として逆行性輸送されたものが細胞体に到達し複製に寄与するものと考えられる。EV71受容体発現マウスにEV71を下腿背側に筋注後、投与後3日目に半数以上の脊髄内からウイルスが検出された。さらに、坐骨神経切断後にEV71を下腿背側に筋注したところ、投与3日目に脊髄内からウイルスが検出されるマウスはいなかった。したがって、坐骨神経経由で脊髄内へウイルスが到達し複製を開始する経路がある可能性のある結果が得られた。分離培養チャンバーで培養したEV71受容体発現運動神経初代細胞にEV71を軸索末端側から感染させたところ、経時的に細胞体で複製したウイルスが検出されるようになったのに対し、細胞体から感染させたところ、軸索末端側にはウイルスが検出されるようにならなかったことなどから、EV71は軸索内を逆行性輸送されていることを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
予想以上に難しいことが判明した技術以外については、順調に進展している。難しいことが判明した技術についても、回避策を検討中である。
EV71ゲノム標識に加えてキャプシド標識もできるほどに大量のゲノム標識EV71粒子を効率的に作製するための標識系および効率的な精製系を確立する。手持ちのウイルスの神経病原性が低いためと思われるが、現段階では、EV71受容体発現マウスにEV71を下腿背側に筋注後、全マウスに脊髄内からウイルスが検出される条件が得られず、はっきりとした結果が得られていない。そこで、神経病原性のより高いウイルスを作製し、検討し直す。分離培養チャンバーを用いた運動神経初代培養細胞と筋細胞の共培養系に関しては、運動神経細胞と筋細胞のシナプスを作らせることは現状では難しい。運動神経細胞と筋細胞のシナプスはEV71やPV感染に必須ではないことから、共培養系の条件検討を続けつつも、重点を運動神経細胞内でのウイルス感染初期過程解析に移すことにした。
年度末に購入予定だったキットの購入時期が新年度にずれこんだため。購入予定だったキットの購入
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J Virol.
巻: 87 ページ: 12327-12338.
10.1128/JVI.02132-13