研究課題/領域番号 |
25460588
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
平田 多佳子 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00346199)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 免疫学 / アレルギー / 炎症 |
研究概要 |
炎症・免疫細胞の浸潤は病原体を排除するのに必須の生体防御反応であるが、同時に自己免疫・アレルギーなどの病態の原因でもある。炎症局所には、炎症を誘発するサブセットだけではなく、制御性T細胞などの免疫抑制機能に特化したサブセットも浸潤し、局所での反応はその総和として理解される。したがって、各サブセットについて、細胞浸潤を制御する方法を提供できれば、細胞機能を標的にした従来の薬剤とは異なる方法で、自己免疫・アレルギーなど多くの難治性炎症性疾患の治療が可能になる。本研究は、セレクチンとそのリガンド、およびリガンド活性を制御する修飾酵素に焦点を絞り、特定の免疫細胞サブセットの炎症局所浸潤の分子機構やその時空的制御を解明することが目的である。本年度は、エフェクター/メモリーT細胞の炎症局所への浸潤を媒介するセレクチンリガンドの活性制御機構を明らかにするため、マウスの皮膚へのハプテン塗布による接触過敏症モデルを用いて、感作リンパ節におけるエフェクター/メモリーT細胞の動態と、セレクチンリガンド活性に関与すると考えられるリガンド修飾酵素群の発現について検討した。その結果、エフェクター/メモリーCD4およびCD8 T細胞では、それぞれナイーブCD4およびCD8 T細胞に比較して、セレクチンリガンド活性の上昇とともに、糖転移酵素Fut4、Fut7、Gcnt1および硫酸転移酵素Chst2の発現が上昇することを見いだした。さらに、感作後のエフェクター/メモリーT細胞では、非感作時のエフェクター/メモリーT細胞に比較して、Fut7の発現が上昇する一方、Chst2の発現が低下することを見いだした。したがって、エフェクター/メモリーT細胞の炎症局所への浸潤は複数のセレクチンリガンド修飾酵素により制御されることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
好中球の炎症局所浸潤を媒介するセレクチンリガンドの解析については、解析に必要なFut4およびFut7両欠損マウスの導入が遅れたため、進展が遅れている。エフェクター/メモリーT細胞の炎症時の動態の解析については予定通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
好中球の炎症局所浸潤を媒介するセレクチンリガンドの解析については、リガンドの性状の解明の鍵となるFut4およびFut7両欠損マウスが必要である。本年度、凍結胚の導入が完了したので、今後、胚移植を行い、交配をすすめて、実験に必要なマウス個体を準備する。エフェクター/メモリーT細胞および制御性T細胞の炎症浸潤機構については計画通り研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究に必要なFut4およびFut7両欠損マウス凍結胚の導入が遅れ、本マウスの飼育、交配、本マウスを用いる実験を実施しなかったため、次年度使用額が生じた。 上記マウスの胚移植を行い、交配をすすめて、実験に必要なマウス個体を準備する。エフェクター/メモリーT細胞および制御性T細胞の炎症浸潤機構については計画通り研究を進める。
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