研究課題
基盤研究(C)
リンパ組織内に形成される胚中心で惹起される抗体の親和性成熟は,病原体の効率の良い排除および2次免疫応答に重要である。胚中心での抗体の親和性成熟の現象は周知であるにも関わらず,そのメカニズムについては不明な点が多く残っている。特に,胚中心の形成および親和性成熟を誘発するメカニズムについての知見はほとんどない。そこで,本研究課題では,胚中心形成に必須であるとされている濾胞樹状細胞(FDC)の機能を明らかとすることで,胚中心の形成および抗体の親和性成熟の誘発機構の解明にアプローチすることを目的とする。申請者らは、FDCにより誘導され、胚中心形成および親和性成熟に関与する可能性をもつ新規な単球系細胞(FDMC)を発見した。そこで、本研究課題では,FDMCの胚中心反応への関与をin vitroとin vivoの両面から解析する。本年度は,FDMCのB細胞に与える作用について検討した。特に,胚中心B細胞で誘発される抗体遺伝子への体細胞高頻度突然変異の誘発能力について解析した。その結果、抗CD40抗体で刺激したB細胞をFDMCと共培養すると、効率的にセントロブラスト様細胞が誘導されることを確認した。さらに、FDMCとの共培養条件下で、B細胞の抗体遺伝子への変異導入頻度が上昇していた。これらの結果は、FDMCが胚中心反応を制御する可能性を示唆する。次年度以降は、実際にFDMCのin vivoでの存在及び胚中心反応の制御について検討する予定である。
2: おおむね順調に進展している
研究計画書に記載した研究について、ほぼ計画通りに進展した。これまでの研究で、FDMCのB細胞への影響が明らかとなった。さらに、体細胞高頻度突然変異の誘導能力も示唆された。これらの結果は、当初の計画通りである。
研究計画調書に記載した通りに研究を推進する。現在までに、FDMCの胚中心B細胞分化への効果が確認出来ている。そこで、次に、in vivoにおけるFDMCの同定および胚中心反応への関与について検証する。さらに、FDCから産生されるFDMC分化誘導因子についての解析も実施する。
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Journal of Leukocyte Biology
巻: 95 ページ: 19-31
10.1189/jlb.0613311