研究実績の概要 |
リンパ組織内に形成される胚中心で惹起される抗体の親和性成熟は,病原体の効率の良い排除および2次免疫応答に重要である。本研究では,胚中心形成に必須であるとされている濾胞樹状細胞の機能を明らかとすることで,胚中心の形成および抗体の親和性成熟の誘発機構の解明にアプローチすることを目的としている。 本年度は, 濾胞樹状細胞株(FL-Y)依存的に誘導され,胚中心B細胞を著しく活性化する能力を持つ新規な単球系細胞(FDMC)の誘導メカニズムの解析に重点をおいた。その結果,FL-Yから産生されるIL-34がFDMC前駆細胞上に発現するCSF-1Rに作用することが重要であることを明らかとした。さらに,このIL-34の作用メカニズムを解明するために,FLAG-tagもしくはStrep-tagを融合したIL-34を導入したFL-Y株を作製した。IL-34を過剰発現するFL-Y株において,FDMCの誘導能力が上昇していたことからも,IL-34の重要性を示した。また,免疫したマウスの脾臓細胞中にFDMCの表現系をもつ細胞集団が増加していた。これらの結果は,FDCおよびIL-34の新規な機能であると考えられる。
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