研究課題
基盤研究(C)
本研究ではガレクチン9を分泌して免疫制御を行う新規CD4陽性T細胞、ThGal-9の性質を詳細に解明し、将来の臨床応用可能性を探ることを第一の目標としている。平成25年度はその取り掛かりとして、ThGal-9の遺伝子発現をマイクロアレイで網羅的に解析する予定であった。ThGal-9は我々が初めて同定した新規制御性T細胞であり、その性質解明は完全に手探りであるため、手がかりを得る第一段階としては網羅的解析が妥当な方法だと考えられる。ところがその準備中に、TNFRファミリーの機能に関して我々と共同研究を展開している米国ラホイヤ・アレルギー免疫研究所のクロフト博士が、TNFRスーパーファミリー9がガレクチン9と相互作用する可能性を見出した。彼らのデータを分析・追試すると、このリセプターを刺激するとT細胞からのガレクチン9分泌が誘導されることが示唆された。これは、ThGal-9の性質解明の最大の注目点である「ガレクチン9分泌機構」について、期せずして研究を集中すべきリセプターとシグナル経路を手に入れたことを意味する。本研究課題における我々の目標を念頭に、それを達成する近道である可能性の高い当研究へ、共同研究者として最大の協力を注いだ。その結果、クロフト博士との共同研究は平成26年度に論文掲載予定となった(Journal of Experimental Medicine, in press)。方法論は変わったが、TNFRスーパーファミリー9に研究の軸を移すことが有益であると考える。因みに当リセプターの機能は、過剰免疫の抑制と癌免疫の亢進であり、まさしくガレクチン9の機能とオーバーラップしている。
2: おおむね順調に進展している
ThGal-9はガレクチン9分泌能を持つCD4陽性T細胞である。ThGal-9の性質解明において最大の注目点はその分泌機構の解明であり、それに繋がる可能性が高いリセプターとシグナル経路について、今後の研究を集中すべき目標が得られたことは大きな収穫である。当初予定のマイクロアレイによる網羅的な遺伝子発現解析の優先順位は低下した。
TNFRスーパーファミリー9とそのシグナル経路に注目してガレクチン9分泌機構解明を進める。昨年行わなかったマイクロアレイ実験については、このシグナル経路を作動した際に変動する遺伝子解析のために用いる。またThGal-9の in vivo 試験については、実験的自己免疫性脳脊髄炎モデルマウスへの細胞移入試験によってその治療効果を調べる予定である。当研究については、国際特許出願中であり、最近になって細胞療法を事業化している国内上場企業より興味を頂くこととなった。細胞療法を臨床応用している視点を得たことより、より良い実験計画を構築して実施する予定である。
1)当初予定していたマイクロアレイによる遺伝子の網羅的な解析の優先順位が低下したために平成25年度に行わなかった。2)その代わりに細胞培養に基づく実験を行ったが、そこで用いる高額のサイトカインを無償で入手した。これは代表者が所属する研究室の助教が平成25年度に急に退職し、残りの試薬を受け継いだためである。3)パートタイムの人件費は別の研究予算より支払った。1)マイクロアレイによる遺伝子の発現解析は前述の計画の目的で本年行う2)パートタイムの人件費については本年度末より本科研より支払う
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件)
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