研究課題
前年よりHIV感染症根治可能性に焦点を絞って研究を続けた結果、ガレクチン9がHIVを潜伏感染したCD4陽性T細胞に抗ウイルス活性をもつ酵素を誘導することが複数の実験系で確認できた。これはガレクチン9分泌細胞およびリコンビナントガレクチン9を利用したHIV感染症の根治につながる重要な発見であり現在論文投稿中である。またガレクチン9にはオートファジーを誘導する機能があることも明らかとなった(Autophagy 2015 11:1373-1388)。オートファジーは細胞質に進入するウイルスや細菌に対する自然免疫の一部とも考えられ、CD4陽性T細胞がHIVを排除する際にも誘導されている可能性が考えられた。本研究課題開始時にはガレクチン9を分泌する正常細胞として確かな証拠があるものは我々が発見したCD4陽性T細胞の一部(ThGal-9)のみであったが、虚血再灌流ストレスによって肝細胞からも分泌されることが明らかとなった(Liver Transpl 2015 21:969-981)。ガレクチン9は細胞に感染や致死的なストレスがかかった際にDamage-associated molecular pattern molecules (DAMPs)として様々な細胞から分泌される可能性がある。著名なDAMPであるHMGB1は細胞に致死的なストレスがかかると分泌され、止血、自然免疫の誘導、組織の修復等に作用する一方で、その過剰分泌はサイトカインストームと多臓器不全を誘発する。近年ガレクチン9の受容体であるTim-3にHMGB1が結合することが他のグループによって報告され(Nat Immunol. 2012 13:832-42)、ガレクチン9、Tim-3とHMGB-1のバランスが自然免疫および獲得免疫にどのような影響与えるかを調べることは今後の重要な研究課題になると考えている。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 3件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 1件)
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