研究課題
この研究はアルツハイマー病のモデルマウスであるtg2576あるいは3x-tgマウスを用いて、T細胞介在性慢性炎症のアルツハイマー病病変に対する影響を明らかにしようとするものである。そのためにAbeta反応性T細胞株を樹立し、その移入によりアミロイド蓄積にどのような変化が生じるかをみることにした。両モデルとも遺伝的背景がH-2bであるので、昨年度はC57BL6マウスを用いてAbetaで免疫しT細胞株を得ようと試みたが、B6マウスはAbetaに対する免疫寛容が強く、T細胞株は得られなかった。そこで今年度はあらかじめ作成しておいた遺伝的背景がH-2bであるインターフェロンガンマ(IFN-g)トランスジェニックマウスを用いることにした。IFN-gトランスジェニックマウスはTh1反応優位になっており、脳炎がおこりやすいことが分かっている。IFN-gマウスをAbeta42とH37Raを加えたFreund完全アジュバントで免疫したあと、百日咳菌毒素を当日と1週後に注射した。2週後Abeta42と完全アジュバントで追加免疫し、百日咳菌毒素を同様に注射した。4週後そ径リンパ節と脾臓からリンパ球を採取しRPMI 1640で5日間培養し、Abeta40, IL-12, 正常B6マウス血清とフィーダー細胞を加えて抗原刺激を行った。2週後抗原刺激を繰り返し、その2週後にT細胞のAbetaに対する増殖反応をWST-1法により調べた。その結果抗原を加えた細胞の増殖反応は抗原を加えないもののそれに比し1.43倍でありAbeta反応性T細胞の存在が示唆された。Abeta反応性T細胞をエンリッチするためにAbeta40で再度刺激を行い、これを繰り返すことでAbeta反応性T細胞ラインを樹立する作業を行っていたが、研究室内でマイコプラスマ感染が発生し、調べたところ本研究者らの細胞も感染が確認されたので除菌作業を行った。マイコプラスマ陰性になったことを確認したところで、研究室全体が落ち着くまで凍結保存することにした。
4: 遅れている
インターフェロンガンママウスを用いることでAbeta反応性T細胞株を樹立できる見通しはついたが、マイコプラスマ汚染がおこったことが大きな理由である。また、研究者の松本が他の研究に時間を割くことを強いられ、この研究を実施する時間が極めて限られたことがあげられる。
なんとか頑張ってAbeta反応性T細胞ラインの樹立までは持っていくつもりである。
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J Alzheimers Dis.
巻: 42 ページ: 865-78
doi: 10.3233/JAD-140534
Tohoku J Exp Med.
巻: 233 ページ: 113-22