研究課題
アルツハイマー病の病態形成に炎症が関与することを示す報告が多数ある。多くは原始免疫反応の関与に関するものであるが、獲得免疫とくにT細胞を介するものの関与が示唆されている。これはアミロイドベータワクチン接種者に自己免疫性脳炎が惹起されたことからとくに注目されるようになり、Abeta反応性Th1 T細胞は炎症を促進し、Th2反応性T細胞はこれを抑制するとの仮説が提唱された。しかし、このことをきちんと実験的に証明した報告はない。この研究はアルツハイマー病の動物モデルマウスであるtg2576あるいは3x-tgを用いて、Abeta反応性Th1あるいはTh2 T細胞株を樹立し、このことを証明しようとするものである。昨年はAbeta 42とFreund完全アジュバントで免疫したインターフェロンガンマ(IFN-g)トランスジェニックマウスからリンパ球を採取し、Abeta40とIL-12, 正常B6マウス血清とフィーダー細胞を加えて抗原刺激を繰り返すことでAbeta反応性T細胞ラインを樹立する作業を行った。その結果Abeta反応性T細胞がある程度enrichされた状態になっていたが、研究室内でマイコプラズマ感染が発生し、調べたところ本研究者らの細胞も感染が確認されたので除菌作業を行った。マイコプラズマ感染が陰性となったことを確認したところで、研究室全体が落ち着くまで凍結保存することにした。今年度はそのT細胞をおこして研究を継続するつもりであったが、マイコプラズマ感染が再燃する恐れがあり、他の研究者に迷惑がかかるので新しくIFN-gマウスを免疫して最初からやり直す計画でスタートした。しかし、IFN-gマウスの繁殖効率が極めて悪く、ついに系統維持が困難となった。マイコプラズマ除菌細胞をおこして研究を再開するには多大な労力を必要とするが、共同研究者の松本が他大学に転出が決まりこれ以上時間を割くことができなくなったので、研究はここで一旦中断することとした。
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