DNA配列の変化を伴わない遺伝子発現状態の安定的制御(エピジェネティックな制御)による免疫T細胞機能の制御について研究した。エピジェネティック制御の一つであるヒストンH3のメチル化に必要なEed遺伝子をT細胞特異的に欠損させたところ、腸管に存在するIELと呼ばれるT細胞の一部に特有なタンパク質群が、サイトカインであるTGFβの刺激によりCD4陽性T細胞において顕著に誘導されることが明らかとなった。また腸に付随するリンパ節のリンパ球数も増加した。これらのことからT細胞においてエピジェネティックな制御が、腸管免疫系の恒常性維持に関与することが示唆された。
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