研究課題/領域番号 |
25460601
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
中村 晃 金沢医科大学, 医学部, 教授 (20344723)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アレルギー / セリンプロテアーゼインヒビター / 好塩基球 / 好酸球 / 気管支喘息 |
研究概要 |
セリンプロテアーゼインヒビターによるアレルギー反応の制御機構の解明 アレルギー反応の主なエフェクター細胞は、マスト細胞、好塩基球、好酸球である。これらの細胞は抗原の刺激により、ヒスタミンなどの化学伝達物質や様々なサイトカインを産生するが、この他にもキマーゼやカテプシンGなどのセリンプロテアーゼを産生する。これらセリンプロテアーゼは、本来細菌感染に対する防御機構として働くが、過剰な分泌は炎症反応を助長し、組織破壊を引き起こす。一方、生体には炎症性プロテアーゼを特異的に抑制するインヒビターが存在している。本研究では代表的なセリンプロテアーゼインヒビターであるSLPI (secretory leukoprotease inhibitor)の欠損マウスを用い、アレルギーのエフェクター細胞における機能の解析と、SLPI以外のセリンプロテアーゼインヒビターの探索を目的としている。平成25年度においては、SLPI遺伝子欠損マウスのマスト細胞、好塩基球、好酸球を用い、IgE刺激の応答性およびシグナル伝達解析を計画した。その結果、当初SLPIが発現していたと思われたマスト細胞には、発現が確認できず、好塩基球と好酸球に発現していることが判明した。そこで、好塩基球と好酸球においてIgEおよびLPS刺激でのサイトカイン産生を検討したところ、SLPI欠損細胞で、顕著に増加していることを見いだした。シグナル伝達の解析ではNF-kBの活性化を認めるも、詳細な解析が今後も必要と考えられた。また野生型およびSLPI欠損マスト細胞、好塩基球、好酸球においてDNAマイクロアレイ解析を行い、それぞれ高発現しているセリンプロテアーゼインヒビターを同定した。現在SLPIを含め同定したセリンプロテアーゼインヒビターのリコンビナントタンパク質を作製中であり、研究は概ね順調に進展していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度においては、SLPI遺伝子欠損マウスの骨髄細胞から誘導するマスト細胞、好塩基球、好酸球を用い、IgE刺激の応答性およびシグナル伝達解析を計画した。その結果、当初SLPIが発現していたとマスト細胞には、好塩基球が混在していることが判明し、SLPIは発現していないことが判明した。しかしながら、タンパクレベルで、好塩基球には好中球の約10倍、好酸球には好中球と同程度のSLPIが発現していることが判明した。そこで、好塩基球と好酸球においてIgEおよびLPS刺激でのサイトカイン産生を検討したところ、SLPI欠損細胞で、顕著に増加していることを見いだした。さらにSLPI欠損マウスにおいてハウスダスト吸入による気管支喘息モデルが増悪していることを見出した。また平成27年度に計画していた野生型およびSLPI欠損マスト細胞、好塩基球、好酸球においてDNAマイクロアレイ解析を行い、それぞれ高発現しているセリンプロテアーゼインヒビターを同定した。現在SLPIを含め同定したセリンプロテアーゼインヒビターのリコンビナントタンパク質を作製中であり、研究は概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、平成25年度で不十分であったシグナル伝達解析を行う。またSLPIに加えDNAマイクロアレイで同定した、好塩基球と好酸球に高発現しているセリンプロテアーゼインヒビターのリコンビナントタンパク質を作製を試みる予定である。リコンビナントタンパク質の作製に成功した場合は、気管支喘息モデルにおいてその効果を検討する予定である。また平成27年度計画で予定しているsiRNAによるノックダウン実験を行う予定である。
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