研究課題
我々は、医学科4年生を対象とする必修授業として、心臓病診察シミュレータ、イチローを用いた少人数実習を行ってきた。まず小講義を行い、その後、2音、過剰心音、および心雑音の聴診をシミュレータで指導した。次に異なる出題の仕方による2回の聴診テストを行った。1回目は、学生に2音、過剰心音、または心雑音の何れに属する音かを予め明示して聴かせた。2回目のテストでは何れに属する音かを知らせずに聴かせた。平成22年度からの3年間のデータの解析をまず行ったところ、全ての音の正解率は1回目の80%から2回目には62%に低下した。これは、2音、過剰心音の2回目の正解率が54%と極めて低かったことによる。以上から、我々は4年次の3時間1回の学習では参加型臨床実習で必要とされるアウトカムには達しないと報告している。次に我々は、心エコー図の動画を上記の実習中の心音聴診指導時に繰り返し学生に参照させると、心音聴診の理解を助け、正解率を上げるかを平成25年度~27年度に検証した。平成25年度は大型モニター上にカラードップラー画像を含む動画を表示し、平成26、27年度はiPad miniを各自に配布し、心音聴診指導時に学生に心エコー動画を参照させた。しかし、これらの解析の結果、全体の正解率は心エコー動画を用いない年度と同様であった。上記の問題を解決すべく平成27年度は、医学科1年生137人全員を対象としてイチローを4台用いた心臓聴診実習を実施した。16-18人ずつを対象とした40分間の授業において、ミニ講義を行った後で、大動脈弁閉鎖不全症の雑音を聴かせ、収縮期雑音か拡張期雑音かを質問した。その結果、4人を除き正しく回答した。以上から、周到な準備をして行う1年生対象の心臓病診察シミュレータを用いた実習の実行可能性と有用性が示唆された。
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