医学教育アウトカム評価法の一つとして、「診療録ピアレビューシステム」の開発を計画し、今回、指導医による評価との基準連関妥当性を検討した。 2014年4月~2015年3月に研究協力病院(関東・中部地方の3病院)の内科外来を新患受診し、卒後3年目研修医13名が診療し、最終的に入院となった患者65名(1研修医あたり5名ずつ)の外来診療録を、評価者5名が病院を別々に訪れて、評価表(診療の質評価:5段階15項目)に基づいて評価した。別に、各病院の指導医が研修医13名のパーフォーマンス評価(5段階10項目)を行い、両者のピアソン相関係数をSPSSで解析した。 研修医13名の「診療録評価」15項目平均点(5症例平均)の平均±標準偏差は3.26±0.19 (2.99-3.59)、「指導医による評価」10項目平均点の平均±標準偏差は3.75±0.81 (2.3-4.7)であった。「診療録評価(5症例平均)」15項目(C1~15)と「指導医による評価」10項目(P1~10)の相関係数は、C1「医療面接」vs P1「病歴聴取」(r=0.509)、C9「EBMに従っている」vs P3「臨床推論」(r=0.585)、C8「治療が適切」vs P4「治療」(r=0.307)、C15「概略評価」vs P10「概略評価」(r=0.306)などで正の相関が得られた。一方、C3「身体診察」はP2「身体診察」(r=0.132)との相関は低く、P6「カルテ記載」(r=0.315)との相関の方が高かった。また、P7「患者・家族への態度」は、C12「患者へのempathy」(r=-0.089)やC13「患者・家族への説明」(r=-0.281)とは全く相関しなかった。 主要な項目(医療面接、臨床推論、概略評価等)で高い基準連関妥当性が認められた。一方、診療録では評価が困難な項目(身体診察、患者医師関係など)も明らかとなった。
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