研究課題
基盤研究(C)
シミュレーターの遠隔操作による教育を方法論として確立し、現場に操作者がいる場合と同等の満足感があることを、我々は報告して来た。この教育方法が技術の習得、保持、患者の転帰に有効であるか客観的指標等を用いて証明することが、本研究の目的である。今年度は特にシミュレーターの遠隔操作による遠隔教育の効果を下記の細目において検討した。「小児の心肺蘇生事象に対するチームアプローチ」の教育における効果測定」【背景】医学生へのシミュレーション教育の有効性は様々な手技や知識に関して示されているが、チームワーク・コミュニケーションの技術についてその有効性を示したものはない。我々は、医学生に対する小児急性期医療のシミュレーション教育が、チームワーク・コミュニケーションの技術を改善すると仮定した。【方法】後方視的コホート研究。小児科臨床実習中の金沢大学医学部5年生に2回のシナリオセッションを含む、60分間のシミュレーショントレーニングを行った。Behavioral Assessment Tool (BAT)を用いてシナリオセッションにおけるチームワーク・コミュニケーションの技術を測定し、1回目と2回目のセッションのスコアを比較した。比較にはt検定を用い、p<0.05を有意とした。【結果】30グループ(176名)がシミュレーショントレーニングを受け、23グループ(136名)のセッションで一次アウトカム解析のためのビデオ映像が得られた。BATスコア(平均±SD)は1回目7.9±4.1から2回目13.0±6.1(p=0.004)と有意に改善した。【結論】医学生に対する我々の小児急性期医療のシミュレーション教育は、チームワーク・コミュニケーションの技術を改善した。
2: おおむね順調に進展している
今年度は小児救急医療のなかでスキルと同等以上に重要視されているチームワーック・コミュニケーションについて、チームによるシミュレーション教育が一定の効果があることが示された。さらに次年度以降に繋がる準備ができた。
今年度の成果をふまえ、さらに以下の項目について検討する。1)「小児の迅速な心肺機能評価」の教育における効果測定2)デブリーフィングの教育効果の測定とビデオシステムによる補完効果の測定3) PALS(pediatric advanced life support)コースの筆記試験による効果測定
消耗品等の購入で端数が生じた消耗品等の購入に充当する
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