研究課題/領域番号 |
25460614
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
太田 邦雄 金沢大学, 医学系, 准教授 (00303280)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 医学教育 / シミュレーション / コミュニケーション / 小児救急 |
研究実績の概要 |
医学生に対する小児急性期医療のシミュレーション教育が、チームワーク・コミュニケーションの技術を改善すると仮定し、参加者のチームワーク・コミュニケーションの改善を、Behavioral Assessment Tool (BAT)を用いて測定した。その結果BATスコア(平均±SD)は1回目7.9±4.1から2回目13.0±6.1(p=0.004)と有意に上昇した。すなわち医学生への小児急性期医療のシミュレーショントレーニングが、BATを用いて測定した時のチームワーク・コミュニケーションを有意に改善する事が示された。さらに、遠隔指導群(1回目[8.5±4.2] vs. 2回目 [13.2±6.2], p=0.003)と現地指導群(1回目 [6.9±4.1] vs. 2回目 [12.4±6.4], p=0.056)では有意な差はなかった(p=0.94)。遠隔指導群でより効果が期待できる傾向があったが、結果的に複数のインストラクタの指導をうけることによるかも知れない。 さらにデブリーフィングの教育効果にも焦点を当てた。反応、分析、まとめの3段階からなり、実際の行動だけではなく、その行動の原因となった概念あるいは先入観に言及する事を目標とした。トレーニング終了後のアンケート各項目(ライカールトスケール1-7、7を最高とする)の結果は、1.トレーニングの構成の有効性6.1±1.0、2.チームとしての感覚が得られたか 5.8±1.3、3.トレーニングを楽しんだか 6.2±1.1、4.また同様のトレーニングを受けたいか 6.0±1.4、5.良い学ぶ機会であったか6.1±0.9 であった。医学生の満足度、評価は高いと結論付けた。さらに遠隔指導群と現地指導群では有意差はなかった。 「小児の迅速な心肺機能評価」の教育における効果測定が今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シミュレーターの遠隔操作による教育を方法論として確立し、現場に操作者がいる場合と同等の満足感があることを、我々は報告して来た。この教育方法が技術の習得、保持、患者の転帰に有効であるか客観的指標等を用いて証明することが、本研究の目的である。今これまでシミュレーターの遠隔操作による遠隔教育の効果を、1「小児の心肺蘇生事象に対するチームアプローチ」の教育における効果測定」2「デブリーフィングの教育効果の測定とビデオシステムによる補完効果の測定」において検討した。その結果は全国学会に報告するとおもに英文にて論文化された(現在 in press)。
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今後の研究の推進方策 |
これまで小児救急医療のなかでスキルと同等以上に重要視されているチームワーック・コミュニケーションについて、チームによるシミュレーション教育が一定の効果があることが示された。されにそれは本遠隔指導システムでも現地指導と同等の効果があることも明らかにされた。 さらに本遠隔教育システムの「小児の迅速な心肺機能評価の教育における効果」と「指導者育成における効果」について検討する予定である。
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