研究課題/領域番号 |
25460618
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北田 雅 京都大学, 経済学研究科, 講師 (00422949)
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研究分担者 |
後藤 励 慶應義塾大学, 経営管理研究科(日吉), 准教授 (10411836)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 初期臨床研修医 / 新医師臨床研修制度 / うつ的症状 |
研究実績の概要 |
本研究では、欠勤や離職を来す初期臨床研修医や新卒看護師の性格特性、欠勤や離職による経済的損失の分析、新医師臨床研修制度下における臨床研修指定病院の経営分析、国内海外モデル病院における改善の取組分析、そしてこれらを通じて本邦における効果的な取組の模索とその効果の評価を目指すものである。欠勤や離職については、とくにうつ関連症状に着目し、研修指定病院へのアンケート調査によるメンタルケアの予防・対策法を提示し、経済・社会学的な観点からの問題提起を行うことを目指している。 平成29年度では看護学校や看護学校を有する病院の経営に大きく関与すると考えられる、看護師養成課程に要する費用や、一般病院経営においても大きな問題となる看護師の頻回な欠勤問題により生じうる費用、他に心理専門職雇用に関する費用、患者の受療率を高める体制整備費用等について、研究分担者である慶應大学・後藤励氏とともに分析を行った。その結果、女性看護師は、バーンアウトやうつ的症状により生産性に影響を来すことが多く、その要因として低い自己肯定感や人間関係での戸惑い等も推察される。また、看護師養成費用は、国立の専門学校(3年)と私立大学(4年)では、学費負担に約10倍程度の差がある等の知見が得られた。 平成16年度に37年ぶりに改訂された新医師臨床研修制度では、診療に従事しようとする医師は2年以上の臨床研修を受けなければならないとされた。その後、地域における医師不足問題を顕在化させたこと等を理由に制度の見直しが行われ、平成22年度に開始される研修より見直しが適用された。この見直しのきっかけとなった臨床研修制度のあり方等に関する検討会の意見のとりまとめの概要において「多くの診療科での研修を一律に課すことが、研修医のモチベーションを損なう面がある」との指摘があり、これまでの申請者らの研究発表等が一定の効果を奏したものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研修指定病院へのアンケート調査の集計・分析作業に時間を要している。また、患者の受療率を高め、有効な介入法を広く提供できるような体制を整備するための心理専門職雇用費用等の分析等に時間を要しており、結果として経営分析の総括への反映と論文としてのとりまとめが遅れている。また、学内業務多忙につき海外モデル病院における改善の取組についてのヒアリング調査の機会を持つことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研修指定病院へのアンケート調査の集計・分析作業をとり行い、かつまた患者の受療率を高め、有効な介入法を広く提供できるような体制を整備するための心理専門職雇用費用等の分析を進め、経営分析の総括へ反映させ、論文としてとりまとめる。海外モデル病院における改善の取組みについてのヒアリング調査を行い、結果を論文としてとりまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度までに行う予定としていた、研修指定病院へのアンケート調査の集計・分析作業や、患者の受療率を高め、有効な介入法を広く提供できるような体制を整備するための心理専門職雇用費用等の分析や、海外モデル病院における改善の取組についてのヒアリング調査とそのとりまとめを平成30年度に行うことにしたため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、これらに必要となる慶應大学への旅費、および海外渡航費として使用する計画である。
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