我々は、薬により多大な恩恵を受けているが、未承認薬を健康なヒトに投与して安全かどうかを検討する試験について、一般には広く周知されていないこと、試験実施の倫理性や許可する過程について、少数であるが疑問を感じる者がいることがわかった。臨床試験への参加動機については、健康人では医学貢献や患者さんの助けになるなどの意見が少数ながらみられたこと、がん患者では将来同じ病気の方の治療に役立ててほしいとする意見も多かったことから、人間の利他主義的な考えが臨床試験にも垣間見られたと推測した。新規医薬品開発のイノベーションが叫ばれる中、これらの結果をどのように臨床試験の現場で反映させていくかが、次に問われる。
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