研究課題
本研究の目的は、がん患者において、がん診療に対しての全人的・包括的な「満足度」を規定する因子を明らかにすることで、患者中心で、かつ、がんとの共存時代に向かうがん医療の現場における今後の重点課題を抽出することにある。平成25年4月1日からの1年間における、名古屋市立大学病院におけるがん相談室に相談のあった856例について解析した。訪室のきっかけは、院内掲示板318例、病院スタッフからの説明から252例。来訪580例、電話224例。相談時間は20分以内433例。男性365例、女性462例、不明31。患者本人522例、患者本人以外329例。がん種別では、乳癌145例、肺癌98例、婦人科癌72例の順に多かった。治療状況では、治療中333例、治療前157例、治療後139例であった。初回例531例、2回以上296例。相談内容では、漠然とした不安377例、がんの病態・治療・検査について282例、症状・副作用・後遺症114例で多かった。支援内容(重複あり)では、傾聴・語りの促進523例、メンタルサポート501例、情報収集・提供429例が上位であった。本調査の結果、がん種によって相談支援を利用する患者数が異なること、2回以上の利用者が予想以上に多いこと、不安等に対する精神的対応や情報収集に対する必要性が高いことが分かった。以上の結果より、がん相談に関する「満足度」の向上には、がん種別に、精神面における支援と、より充実した情報提供が重要と考えられた。
3: やや遅れている
アンケート実施のための医療者間での話合いが予定より遅れた。満足度に関わる因子の絞り込みに予想より時間がかかったため。
がん相談室での相談内容の調査の結果も合わせて、満足度に関わるアンケート調査を本年度施行する。医療者のみならず、がん患者にもアンケートを実施する。アンケート実施には、看護部門、および、患者会の協力を得て、前進させる。
当初予定していた、満足度調査のアンケート作成が、予想より時間を要したため、次年度にアンケートを実施することになったため。
満足度調査に関するアンケートを実施にあたり、印刷費、送付料、人件費、解析に伴う費用に使用する。
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J Cancer
巻: 5 ページ: 390-397
10.7150/jca.7706
http://ncu-ketsuekishuyo.jp/outline/research_group/group-kagaku