研究課題/領域番号 |
25460629
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
佐渡 充洋 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10317266)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | マインドフルネス / 不安障害 / 費用対効果 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、パニック障害、社交不安障害、強迫性障害患者を対象にマインドフルネス教室のpreliminary studyを実施し、最終的に13名の参加者をえてこれを修了した。Primary outcomeとして STAI-state、Secondary outcomeとして STAI-trait、K-6、CES-D、EQ-5D、FFMQなどを設定し、これらの介入前後の値をpaired t-testを用いて両側検定を行ってその効果を解析した。その結果、Primary outcomeであるSTAI-state(介入前52.4 介入後40.8 p=0.001)、またsecondary outcomeのうち、STAI-trait(p=0.003)、K-6(p=0.04)、FFMQ-nonjudging(p=0.03)については有意な改善が認められた。一方でCES-D、EQ-5D、FFMQ-Observing、Nonreact、Describing、Awarenessについては有意な変化は認められなかった。以上より、マインドフルネス的介入が一定の効果があることが明らかになった。これをうけ、この結果が頑健であるかを確認するため、無作為化比較対照試験(RCT) を計画し研究プロトコールを作成し、倫理委員会の承認を得た。平成26年9月よりRCTへの参加者を募り、10月より介入を開始した。現時点で20名のエントリーがあり、介入を修了している。現在も引き続きエントリーを継続しており、平成27年9月に全体の介入が修了する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度、preliminary studyがすべて完了し、その結果を明らかにすることができた。それを受けて、プログラムを更に精緻化し、RCTの実施を計画した。研究プロトコールを作成の上、倫理委員会の承認を得てRCTを開始し、現在まで20名のエントリーをえて順調にRCTが進んでいる状態である。順調に経過した場合、RCTの介入は平成27年9月に完了する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
まず、各研究施設におけるMBCTの介入技術を向上させるため、海外等で実施される上級者向けのMBCTの研修会に参加する。我々の研究グループでは、これまでも、MBCTの研修会等に参加し、その技術の向上に努めてきたが、RCTの実施のためには、更に質の高いMBCTが提供できる体制の整備が必要であるため、この研修会参加は必要であると考えている。次に現在進行中のRCTを完了させる。現在RCTのエントリー数は20名である。次年度は、残り20名のエントリーを進め、RCTの介入を完了させる予定である。さらに、その結果を解析し、マインドフルネスが日本の不安障害の患者に対して効果があるかどうかを明らかにする。最後にこれらの結果をまとめ学会等でその結果を公表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、preliminary study終了後、RCTを開始する前に、更なるMBCTの介入技術向上のために、海外で実施される上級者向けの研修会に参加する予定であった。そして、そのための予算を計上していた。しかし、サンプルサイズを増やしpreliminary studyを実施することとなり、preliminary studyの終了時期が遅れたため、海外等で実施されるMBCTの研修会に参加することが困難となった。そのため、次年度使用額が生じた。一方、同様の上級者向けの研修会は、毎年実施されている。よって、次年度には、MBCTの上級者向けの研修会に参加し、RCTの実施をより円滑にできる体制を整える予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の予算については主に以下の項目に使用する。まず、次年度には、現在進行中のMBCTのRCTを完了させ、その効果を明らかにする予定であるが、そのための費用(消耗品の他、RCTの実施にあたって必要となる中央管理で実施する無作為割付、データ管理のための費用。そして、本研究の推進に伴う事務員の人件費、および謝金等の費用。そして、その他の消耗品、印刷費等の費用)。次に、RCTをより円滑に進めるため、海外等で実施されるMBCTの上級者向け研修会、研究セミナーへ参加する予定であるが、その参加費用および旅費。さらに研究成果を公表するため学会等へ参加する際の参加費用および旅費。
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