研究課題/領域番号 |
25460632
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
小林 志津子 東京医科大学, 医学部, 兼任講師 (20569602)
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研究分担者 |
大滝 純司 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20176910)
泉 美貴 東京医科大学, 医学部, 教授 (30228655)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 医学生 / 不正行為 |
研究実績の概要 |
本研究は、電子機器を利用した学生の不正行為が増加しており、不正行為について医学生に指導する指針を望む教育現場の声が高まっていることに短所を発した。医師のプロフェッショナリズム教育の一環として不正行為について指導することは将来の医師のモラル向上のために、今後ますます社会から求められることが予想できる。 我々は平成23年に全国の80医学部における不正行為の経験を調査し、回答いただいた64医学部のうち85%(56校)が過去3年間に医学生の不正行為を経験し処分した現況を明らかにした。過去3年間に限らなければ、不正行為を経験した医学部の割合はさらに増加すると予想され、医学生の不正行為は決して稀でない問題であることが推測できる。さらに、この調査では医学部教員が学生の不正行為への対応に苦慮している現況を把握できた。これらの結果は平成23年度医学教育指導者フォーラム、内科学会総会、医学教育学会などで報告し、国内の医学教育関係者の耳目を集めた。現在はこの全国調査を英語論文にまとめて海外誌に投稿中である。 前年度に引き続き、当該年度はさらにこの研究を発展させて、医学生が不正行為への考え方を医学部で形成する過程や、教員が学生時代に医学部で育んだ不正行為への考え方及び教員の医学部での経験が現在の教育指導に与えている影響を探索的に調査し、今後の医学部での不正行為対策に関する教育への提言を行うことを目的に質的研究を開始した。研究計画は東京医科大学倫理委員会の承認を得た。さらに医学生を対象にしたアンケート調査に向けた質問紙表作成を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画では第一段階として医学部教員に対して質的調査を実施することで、医学部の学生の不正行為に与える環境要素を抽出する予定だった。しかし、対象者のリクルートが難航したことと、対象者からの要素の抽出が予測よりも低下したことから十分な結果を引き出せないと判断し質的調査を中止した。 このため、計画を変更し第二段階の医学生を対象とした質問紙調査の調査票の学術的基盤を、当初予定していた質的調査の結果からではなく、英国のGeneral Medical Council のTomorrows doctors 及び研究者らの論文に変更して質問紙表の作成に取り組んだ。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は全国7大学の医学部の医学生6年生およそ700名を対象に質問紙調査を実施し、結果解析および論文作成の予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画では第一段階として質的研究を実施し、その研究結果を基盤として第二段階の医学生を対象にした量的調査を実施する予定だった。しかし、質的研究の対象者のリクルートが難航したことと、実施済みのインタビュー調査からは、当初予想していた医学部の環境が医学生の不正行為に与える環境要素の抽出が困難であった。対象者の選択バイアスが結果に及ぼす影響が計画当初よりも過大であり、妥当な研究結果にはならないと判断し、質的調査を中止した。これにより、第二段階の量的調査の基盤を再検討する必要性が出たために当該研究の進行が遅れ、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度に研究計画を変更し、現在、医学生に向けた量的調査の調査用紙作成と倫理委員会提出準備中である。今年度中に調査を実施し、調査用紙の印刷郵送やデータ入力業務等に研究費を使用予定である。
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