近年、電子機器を利用した学生の不正行為が増加しており、不正行為について医学生に指導する指針を望む教育現場の声が高まっている。我々は平成23年に全国の80医学部における不正行為の経験を調査し、回答いただいた64医学部のうち85%(56校)が過去3年間に医学生の不正行為を経験し処分した現況を明らかにした。過去3年間に限らなければ、不正行為を経験した医学部の割合はさらに増加すると予想され、医学生の不正行為は決して稀でない問題であることが推測できる。さらに、この調査では医学部教員が学生の不正行為への対応に苦慮している現況を把握できた。これらの結果は平成23年度医学教育指導者フォーラム、内科学会総会、医学教育学会などで報告し、国内の医学教育関係者の耳目を集めた。医師のプロフェッショナリズム教育の一環として不正行為について指導することは将来の医師のモラル向上のために、今後ますます社会から求められることが予想できる。 医学生が不正行為への考え方を医学部で形成する過程や、教員が学生時代に医学部で育んだ不正行為への考え方及び教員の医学部での経験が現在の教育指導に与えている影響を探索的に調査し、今後の医学部での不正行為対策に関する教育への提言を行うことを目的に本研究計画を実施した。 医学生の不正行為について国内7大学の医学部6年生約700名を対象にした無記名アンケート調査を予定して平成28年度7月に研究計画を倫理委員会に申請したが許可取得に難航し、現在も申請中である。倫理委員会の承認が下りしだいアンケート調査を実施予定である。
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