研究課題/領域番号 |
25460634
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
冨澤 康子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (00159047)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 女性医師 / ワークライフバランス / 外科 / 労務環境 / 支援 |
研究概要 |
本研究課題により、女性医師の継続就労の必要・重要な因子を客観的データに基づいて明らかにし、就労環境の中でどの希望就業条件(勤務形態・時間、育児・復職支援、ほか)を整えれば、効率良く医師として継続就労につなげられる。そして、政策提言を出して社会に働きかけ、労働環境を希望に近づけることにより、医師不足を改善し、良質な医師の労働力を維持でき、日本の医療の崩壊を食い止めることが可能になると考え本研究を開始した。 平成25年度は【1】基本調査と、【2】女性医師へのアンケート調査を計画した。【1】では、先行研究の文献や公表された各種統計を用いて、基本的事項の調査を進めるところから研究を開始した。この中で、例えば「就業構造基本調査」の個票データを用いる際に、実際に女性医師に関してどこまで情報が得ることが可能なのかを、公表されている統計表や調査票等を参考にしながら検討する。 【2】の女性医師へのアンケート調査では、日本医学会分科会の学会を複数選んで(例:外科系学会:日本外科学会、女性会員数2300 名、日本胸部外科学会の女性会員数342 名、日本心臓血管外科学会の女性会員数166 名、日本消化器外科学会の女性会員数984 名、他。〔いずれも2011 年のデータ〕)、ワーク・ライフ・バランスのアンケート調査をKawase らの方法(Kawase K, 2012, World J Surg)に基づいて行う。調査は守秘義務契約を結んだ企業に委託契約を結び、メールで質問用紙を送り、メール、Fax、郵送にて回収する。個人が特定できない状態になったデータをうけとることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は【1】基本調査、および【2】女性医師へのアンケート調査等を計画した。【1】の基本調査では既に、これまでの研究による蓄積もあり、先行研究の収集は開始していたが、【2】でのでの調査や【3】の「就業構造基本調査」(「就調」)でのデータ分析の準備を念頭に置いて必要な情報をまとめた。まとめた内容は論文として国際語で発信することができた。【2】女性医師へのアンケート調査では日本国内ばかりでなく、アメリカ女性外科医会(Association of Women Surgeons)の協力を得て、米国の消化器外科医へのアンケート調査を行う計画を立てている。 以上の他に女性医師に関して今後施策が必要になる項目について調査を行っている。以上から、当初の計画以上に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、【2】女性医師へのアンケート調査を行い、その詳細な分析を行う予定である。また、【3】「就業構造基本調査」(「就調」)の個票データを利用した分析「就調」の調査票情報(個票データ)使用を統計法の規定に基づき総務省に申請して、平成14・19・24 年の3か年分のデータを得て分析する。具体的には、どのような労働条件・属性の女性医師が継続就業しやすくなるのかを明らかにするため、以下の3点について分析する。①女性医師の勤務形態・労働条件・就業意識・家族について、②女性医師の離転職について、③女性医師の就業意識の形成要因についてである。①女性医師の勤務では、年齢層別の勤務形態(雇用形態や就業上の地位の分布、すなわち開業医か勤務医か、勤務医であれば正規雇用か非正規雇用か:常勤か非常勤か)や労働条件(労働時間や年収等)、就業意識(今の職場で仕事を続けたいか等)の違いを明らかにする。特に、「就調」から子どもの人数や年齢の情報が得られるため、子どもの数や年齢との関係も明らかにする。また、「就調」データでは男性医師との比較が可能であるため、キャリアパスの推移や労働条件、就業意識の違いも見ることで、男女間の傾向の違いを明らかにする。さらに、「就調」が世帯調査であるため、医師(男女とも)の配偶者の職業(含前職)も見ること可能と予想される。職業面から見て医師の家族形成が男女間で異なるのかを明らかにする。②女性医師の離転職では、「就調」から前職に関する情報も得ることが可能でああるため、離転職した女性医師がなぜ辞めたのかを明らかにする。この際、転職のタイミング(特に自身や子どもの年齢)や転職前後の勤務形態の違いを見る。「小1の壁」問題の離転職への影響を明らかにする。③女性医師の就業意識の経年変化を調べることにより今後の対策を立てたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
理由はいくつかあるが、一番大きい理由は、研究が速やかに進み、その成果を論文にまとめることができた。ところが、論文が国際誌に採択されるのに時間がかかり、国際誌では、英文校正代、Open Access代、カラー印刷代、別刷り代などが必要になるが、その費用を残しておくことを希望した。 研究成果を発信するのを目的に、国際誌に投稿するために、英文校正代、Open Access代、カラー印刷代、別刷り代に用いる予定である。
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