研究課題
平成26年度は、【2】女性外科医師の現在の仕事と生活のバランスを調査し、生活の質を改善するための方策を探る目的で、日本外科学会会員全員を対象とし、全60問のアンケート調査を行った。また、【3】「就業構造基本調査」(「就調」)の個票データを利用した分析を行うことを予定し、総務省に申請して、平成14・19・24年の3カ年分のデータを得て、解析することとした。外科医の仕事と生活のバランスでは、週労働時間は長く、有意に女性の家事負担が多かった。近年においても、外科において、男女役割分担の考え方がされており、女性医師の家事負担が多かった。就調の個票データの分析を現在進めているが、男性医師との比較が可能であるため、キャリアパスの推移や労働条件、就業意識の違いを見ることで、男女間の傾向の違いを明らかにしたい。さらに、「就調」が世帯調査であるため、医師の配偶者(妻と夫)の職業を前職を含め、明らかにできることを期待している。現在、日本において女性医師は継続就労が困難であり、「M字カーブ」が諸外国に比べてきついことが指摘されている。離転職した女性医師の離転職した理由、転職のタイミング(特に自身や、子供の年齢)や、転職前後の勤務形態の違いをみる。「小1の壁」問題の離転職への影響を明らかにすると、今後の対策に役立てることが可能にできることを期待している。現在、さらに分析を進めているところであり、多大な成果を得ることを期待している。
1: 当初の計画以上に進展している
本研究課題の成果の一部は、第115回日本外科学会定期学術集会の特別企画で報告し、また、American College of Surgeons Clinical Congress 2014で、女性外科医の就労環境環境の改善に関係する手術器具の人間工学的検討を報告することが出来た。また、女性医師支援に関する国際語での論文を複数出すことができた。以上から、当初の計画以上に進展していると考えている。
今後の進め方では、【4】「就調」データの追加分析として、豊富なデータであるため、実際に1年ですべての分析が完了しておらず、文執筆の関係で追加的な分析をする必要が生じている。そのため、平成 26 年度にも再び総務省に「就調」データの利用申請を行うことで、追加的な分析を行う。【5】得られた結果による具体的施策の導出・成果のとりまとめとして、ここまでの分析によって得られた結果を学術論文等の形でまとめながら、その知見を実際に社会的に還元するために具体的な就業支援施策を見出す。この際、国内だけではなく海外の事例や文献についても調査し、研究代表者の冨澤の環境を利用して周囲の女性医師との意見交換も行い、可能な限り具体的かつ有効な施策を導出したい。また、「就調」は全職種を対象とした調査であるため診療科のような医師特有の情報は含まれていない。このため、「就調」の分析結果と女性医師へのアンケート調査結果との比較も行う。最後に、ここまで示した分析結果やそれに基づく知見、具体的施策を取りまとめる。この際、学術雑誌等の学術媒体での公表はもちろん、可能な限り一般的な媒体にも出すことを目指す。
本研究で使用するほとんど全ての備品(コンピュータ、他)は研究代表者が所有しているか、施設が有しているため、新たに購入する必要はなかった。各研究費目は、経費節減のために必要最低限の概算を行い、研究代表者・連携研究者の 2 名で行ったため、謝金・人件費は発生しなかった。また、得られた成果は最大限に発信することが可能となった。
効率良く、研究を行い、成果を最大限に発信することを心がけたい。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (11件)
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