本研究の目的は、妊娠・出産後に医師免許を持ちながら医師として就労しない/できない「潜在女性医師」に注目して就労希望条件や意識を分析し、日本における女性の年齢階級別就業率における「M字カーブ」を改善するのに有効な方策を見つけることとした。本研究課題の知見によって潜在女性医師の臨床復帰を可能にし、医師全体の労働負担を軽くし、継続就労につなげることが可能となるところまでを成し遂げることを目標とした。 就業構造基本調査の個票を調査したところ、男性に限定して分析した結果では,「転職経験あり」,「6~8 歳の子供あり」,「個人所得」の各変数で,また,女性に限定して分析した結果では,「転職経験あり」,「配偶者あり」の変数について有意に離職希望を高める効果が認められた。すなわち、就業構造基本調査の個票データを用いたところ、以前の転職経験ありが最も離職希望に影響し,子育て中の女性医師の離職傾向は明らかにならなかった.女性医師は配偶者に継続就労が影響されるため,配偶者の理解に加え,多様な女性医師支援策が重要であることが示唆された.
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