• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

臨床推論過程の逆行的学習による臨床前教育の開発と検証

研究課題

研究課題/領域番号 25460635
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東京女子医科大学

研究代表者

大久保 由美子  東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80287317)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード臨床推論 / 臨床前教育 / コンピタンシー教育 / 前向き介入研究
研究概要

現在の卒前教育に不足する、臨床実習前の新たな臨床推論能力の教育法を開発し、教育効果を検証するのが本研究の目的である。症候からの鑑別診断、および患者が抱える諸問題の発見解決に必要な過程を医学生が体験する際、与えられた教材を用いるのではなく、学生が臨床推論の課題を作成し、その課題を用いて臨床医が患者の問題を解決する際の情報収集法、思考過程を観察、解析する。通常の臨床推論過程と逆行する過程を能動的に体験することで作成課題の妥当性を学び、臨床医の臨床推論過程の分析を行うことで実際の思考過程、症例の医療情報収集の多様性を学ぶ。本研究に参加する学生を介入群とし、その他の学生を対照群として、問題解決能力、臨床推論能力、技能、態度を測定、比較する。
平成25年9月に本研究の介入群となる医学部3年生を募集した。本学の研究室配属カリキュラムに本研究の趣旨に賛同した3年生の学生2名が参加した。研究の概要を説明したうえで臨床推論について自己学習し、課題を各自学生が作成した。課題は学生が選択した病態または疾患の症例で、医療情報を小分けにしたものとした。12月の2週間で、学生は各自22人の臨床医を訪問し、課題を提示し、限られた医療情報をもとに考えられる病態または疾患、鑑別のために必要な情報を聴取した。学生は臨床医の専門および臨床経験年数で鑑別疾患数、必要情報量、診断プロセスに差があるか、分析した。臨床経験の少ない臨床医ほど、学生が課題作成に用いたのと同様な分析的な手法を用い、少ない情報から多くの鑑別数、必要とする情報量を求めて診断する傾向にあることが分かった。学生は医師の求める情報の共通性と多様性に気づき、臨床推論過程を学んだと述べた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は本学の研究室配属カリキュラムに行われ、介入群が2名であるが、医学生各自が訪問した臨床医数は22名にのぼり、解析出来る数値となった。介入群と対照群を比較した教育効果の判定は26年度以降の実施になるため、概ね順調に伸展していると言える。

今後の研究の推進方策

平成25年度に3年生であった介入群は平成26年度に4年生となっている。介入群、比較群に対して問題解決能力、臨床推論能力、技能および態度、学習意欲および職業意識を平成26年度に診療情報の追加による臨床判断の変化を問う言語化試験(Script Concordance Test; SCT)、臨床推論能力教育のためのチーム基盤型学習(TBL)、本学で開発したコンピューターを用いた臨床問題解決能力試験(problem-solving ability test; P-SAT)、客観的臨床能力試験(Objective Structured Clinical Examination ; OSCE)、質問紙調査を行い、両群の比較を行う。
平成26年度の3年生についても介入群を募集し、平成25年度と同様の介入を行う。

次年度の研究費の使用計画

学生の発表に関してビデオを購入せず、iPod touch端末を用いたため。また予定していたTablet端末も購入しておらず、研究計画は概ね順調に伸展しているが、解析に必要な物品購入を当該年度に行わなかったため。
平成26年度は介入研究を進めるのと平行して、前年度のデータの解析を行う。物品の購入が必要となる。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] Reflection and feedback in ambulatory education2014

    • 著者名/発表者名
      Okubo Y, Nomura K, Sito H, Saito N, Yoshioka T
    • 雑誌名

      Clin Teach

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 人材育成のための授業紹介 医学 レスポンスアナライザーを用いたチーム基盤型学習(TBL)2013

    • 著者名/発表者名
      大久保由美子
    • 雑誌名

      JUCE Journal

      巻: 2013年度No.3 ページ: 19-21

    • DOI

      http://www.juce.jp/LINK/journal/1401/pdf/03_02.pdf

  • [雑誌論文] PDA端末を利用する医療技能教育・評価システムの有効性検討2013

    • 著者名/発表者名
      大久保由美子
    • 雑誌名

      研究助成成果報告論文集 公益財団法人カシオ化学振興財団

      巻: 1 ページ: 76-77

    • DOI

      http://casiozaidan.org/files/pdf/2011_ronbun.pdf

  • [学会発表] 臨床実習における症例プレゼンテーションの録画とマイクロティーチング式省察の効果

    • 著者名/発表者名
      大久保由美子、齋藤洋、齋藤登、野村馨、吉岡俊正
    • 学会等名
      第45回日本医学教育学会大会
    • 発表場所
      千葉
  • [学会発表] バセドウ病眼症におけるIGF-Iの役割:外眼筋病変部モデルC2C12筋芽細胞における受容体阻害剤の効果

    • 著者名/発表者名
      磯崎 収、野添康子、村上ひとみ、大久保由美子、井上立州、井上洋一、市原淳弘
    • 学会等名
      第56回日本甲状腺学会
    • 発表場所
      和歌山
  • [学会発表] 軽度甲状腺機能亢進症に対する無機ヨード療法の解析

    • 著者名/発表者名
      大槻昌子、磯崎 収、大久保由美子、肥塚直美、市原淳弘
    • 学会等名
      第86回日本内分泌学会学術総会
    • 発表場所
      仙台
  • [図書] 医学生らしさとは 人間関係教育と行動科学テキストブック2014

    • 著者名/発表者名
      大久保由美子
    • 総ページ数
      270
    • 出版者
      三恵者
  • [図書] 評価に関する6つの質問 医学教育を学び始める人のために2013

    • 著者名/発表者名
      大久保由美子
    • 総ページ数
      314
    • 出版者
      篠原出版新社
  • [図書] 筆記試験とコンピュータ評価 医学教育を学び始める人のために2013

    • 著者名/発表者名
      大久保由美子
    • 総ページ数
      314
    • 出版者
      篠原出版新社

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi