研究課題
現在の卒前教育に不足する、臨床実習前の新たな臨床推論能力の教育法を開発し、教育効果を検証するのが本研究の目的である。症候からの鑑別診断、および患者が抱える諸問題の発見解決に必要な過程を医学生が体験する際、与えられた教材を用いるのではなく、学生が臨床推論の課題を作成し、その課題を用いて臨床医が患者の問題を解決する際の情報収集法、思考過程を観察、解析する。通常の臨床推論過程と逆行する過程を能動的に体験することで作成課題の妥当性を学び、臨床医の臨床推論過程の分析を行うことで実際の思考過程、症例の医療情報収集の多様性を学ぶ。本研究に参加する学生を介入群とし、その他の学生を対照群として、問題解決能力、臨床推論能力、技能、態度を測定、比較する。本研究の介入群となる医学部3年生は研究の概要を説明したうえで臨床推論について自己学習し、課題を各自学生が作成した。課題は学生が選択した病態または疾患の症例で、医療情報を小分けにしたものとした。学生は各自約30人の臨床医を訪問し、課題を提示し、限られた医療情報をもとに考えられる病態または疾患、鑑別のために必要な情報を聴取した。学生は臨床医の専門および臨床経験年数で鑑別疾患数、必要情報量、診断プロセスに差があるか、分析した。臨床経験の少ない臨床医ほど、学生が課題作成に用いたのと同様な分析的な手法を用い、少ない情報から多くの鑑別数、必要とする情報量を求めて診断する傾向にあることが分かった。学生は医師の求める情報の共通性と多様性に気づき、臨床推論過程を学んだと述べた。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件)
Tohoku Journal of Experimental Medicine
巻: 238 ページ: 65-74
10.1620/tjem.238.185
東京女子医科大学雑誌
巻: 86 ページ: 87-93
巻: 240 ページ: 181-181
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