天理よろづ相談所病院、内分泌内科に通院する糖尿病患者を対象として、2009年から約4000名の大規模レジストリを作成している。本年度は、本レジストリのデータを用いて、検査データ、糖尿病関連の合併症との関連、特に血清尿酸値と糖尿病性腎症との関係を中心に検討を行った。ベースラインの横断解析では、血清尿酸値が低い場合と高い場合に、糖尿病性腎症の進行リスクが上昇したが、発症リスクは上昇しなかった。多変量で調整した結果、血清尿酸値の第2四分位と比較すると、第1、第3、第4四分位の糖尿病腎症の進行に関わるハザード比は各々2.17 [95 % confidence interval (CI) 1.15-4.08; p = 0.016]、3.04 (95 % CI 1.67-5.53; p < 0.001)、and 3.56 (95 % CI 1.83-6.93; p < 0.0011) であった。一方、血清尿酸値は、糖尿病性腎症の発症には関与していなかった。血清尿酸は糖尿病性腎症の進展の予測に有用である事が明らかになった。本研究の成果を第58回日本導尿病学会年次学術集会、及び第75回米国糖尿病学会において発表した。
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