研究課題/領域番号 |
25460658
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
藤村 昭夫 自治医科大学, 医学部, 教授 (90156901)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 臨床薬理学 / 循環器 / 薬物有害反応 / QT延長 |
研究概要 |
抗不整脈薬ベプリジルは優れた臨床効果を発揮する反面、QT延長に伴う致死性不整脈を来たすことがあり問題となっている。これまで研究代表者らは基礎研究により、α-リポ酸が急性白血病治療薬である亜ヒ酸の腎毒性や心毒性(QT延長)を予防・軽減することを見出し、その機序として抗酸化作用やキレート作用が関与することを明らかにした。そこで本研究では、基礎研究および臨床試験により、α-リポ酸がベプリジルによるQT延長を予防・軽減することができるか否かを明らかにすることを目的とする。本研究の成果は、ベプリジルの安全性を高め、多くの患者への使用を可能にすることから、不整脈治療の向上に大きく寄与するものと期待される。 本年度は、まず、べプリジルによるQT延長を評価できるモルモットモデルを確立した。このモデルを用い、α-リポ酸の同時投与の効果を検討したところ、α-リポ酸はべプリジルによるQT延長を軽減しなかった。そこで、次に、α-リポ酸をべプリジルの投与開始2時間前から持続投与したところ、α-リポ酸は用量依存的にべプリジルによるQT延長を軽減した。一方、α-リポ酸はべプリジルの心拍数抑制作用は軽減しなかったことから、抗不整脈効果に対しても抑制していないことが示唆された。これらのことより、α-リポ酸はベプリジルのQT延長克服薬として期待できることが確認されたため、次年度はその機序について検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物モデルの確立ならびにα-リポ酸の効果の評価は予定通り進んでおり、その作用機序を明らかにするための動物実験および電気生理学的実験も現在進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、α-リポ酸の作用機序を明らかにするために、キレート薬や抗酸化薬の効果を動物モデルで検討し、各種イオン電流におよぼすべプリジルおよびα-リポ酸の影響をパッチクランプ法により評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験が順調に進んでおり、現在のところ、予定よりも少ない経費で成果を得ることができた。しかし、今後は研究が難しくなるため、研究期間全体としては当初の予定通りの経費が必要になるものと予想される。 次年度もすべて物品費(動物購入代、試薬代、実験器具代など)に費やす予定である。
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