研究課題
1.ワルファリン投与による安定した抗凝固療法中の連続202例を対象に、食事内容に関するアンケート調査によって定量したビタミンK摂取量の影響が、VKORC1遺伝子-1639A/G多型ヘテロ接合体において、薬効指標であるPT-INRの変動に関与するが、AAホモ接合体では関与が見られないとの知見を報告した論文が公開された(J Thromb Thrombolys 2014;38:105-114.)2.1.で見出した知見から、ワルファリンの薬効指標であるPT-INRの継時的変動におよぼす食事由来のビタミンK摂取量が影響が遺伝子型によって異なるとの仮説を立て、遺伝子型の明らかな連続176例を対象に前向き研究によって検証した。その結果、統計学的に有意ではなかったがA/Gヘテロ接合体では変動が大きい傾向を認めた。3.新規抗凝固薬の薬理ターゲットであるXa活性の測定について、実験室に導入し臨床検体を用いた予備実験において良好な再現性を確認した。これによって、rivaroxaban、apixaban、edoxaban投与例についてXa活性測定が可能となった。4.前年度策定した栄養薬理遺伝学に基づく試験デザインについて、自施設の遺伝子研究に関する倫理審査委員会の審議を経て実施の承認を受けるとともに、dabigatran投与例を含めて各種凝固系検査指標への影響について、臨床例を対象とした研究をスタートした。
3: やや遅れている
海外で行われたXa活性測定試薬の開発が遅れたため、自施設における測定系確立が当初の予定より半年以上遅れた。その結果臨床検体の集積、およびそれを用いた測定および解析が遅れている。
研究対象である新規抗凝固薬は自施設において十分な症例数に投与されていることから、今後は十分な進展が望めると考えられる。
研究進捗状況として記載したように、Xa活性測定試薬の開発が遅れたため、自施設における測定系確立が予定より半年余り遅くなった。ゆえに試薬購入に使用を予定していた研究費を次年度に繰り越す必要が発生した。
新規抗凝固薬投与臨床例は自施設において順調に増加しており、測定系が確立したことも併せて研究を遂行し、次年度使用額は試薬購入に充てる予定である。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件)
J Thromb Thrombolysis.
巻: 38 ページ: 105-114
10.1007/s11239-013-0978-9
J Cardiol.
巻: 64 ページ: 86-90
10.1016/j.jjcc.2013.11.017
Atherosclerosis
巻: 235 ページ: 176-181
10.1016/j.atherosclerosis.2014.04.030.