研究課題/領域番号 |
25460662
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
鳥羽 裕恵 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (90351270)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 臨床薬理学 / 高尿酸血症 |
研究概要 |
高尿酸血症が腎障害発症・進展のリスクであることが報告されており、尿酸は腎のみならず血管や脂肪細胞にも取り込まれ、心血管疾患やインスリン抵抗性の原因となる可能性も示唆されている。 初年度は尿酸による腎障害、血管障害、インスリン抵抗性発症機序の解明を目的とし、ウリカーゼ阻害剤 oxonic acid(750mg/kg/day, p.o.)投与により高尿酸血症モデルラットを作成し、検討を行った。 Oxonic acid投与によりと血清尿酸値は有意に上昇した(投与群1.903mg/dl vs. 非投与群0.992mg/dl)。Oxonic acid投与により血圧は有意に上昇し(収縮期血圧;150mmHg、拡張期血圧;126mmHg)、尿蛋白、血中尿素窒素も経時的に増加したが有意差は認められなかった。 Oxonic acid投与5週目に摘出した胸部大動脈組織からリング標本を作成し内皮機能を測定したが、acetylcholine、sodium nitroprusside負荷時の弛緩反応はoxonic acid非投与群と同等であった。大動脈切片を用いてhematoxylin-eosin染色、マクロファージの免疫染色を行ったが、血管壁肥厚やマクロファージの浸潤などの血管炎症に関わる変化は認められなかった。 さらに血清インスリン値、空腹時血糖値を測定したが、oxisonic acid非投与群と有意差は認められず、インスリン抵抗性の存在は確認されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高尿酸血症モデルラットの作成は過去の報告を参考に750mg/kg/dayのoxonic acidを用いた。血清尿酸値と血圧に有意な上昇を認めたが、腎機能の緩徐な低下を認めるにとどまり、有意差は認められなかった。大動脈組織における変化、インスリン抵抗性に関する評価結果についても同様で、oxonic acid非投与群との差は認められなかった。 当初の計画では初年度に高尿酸血症が、インスリン抵抗性、腎障害、血管障害を引き起こすこと、またその機序を解明することを目的としていたが、モデル作成の際のoxonic acidの投与量の再設定が必要であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
Oxonic acidを用いた報告によると、今回研究代表者が用いた投与量よりも、より高用量を用いて高尿酸血症モデルを作成している。血圧の有意な上昇と、腎機能の低下傾向から、高尿酸血症の組織障害作用については今後も検討を進めるべき結果と考える。研究推進にあたり、今後はoxonic acid投与量を増加させること、また、よりシビアな障害を誘発させるために、片腎ラットを用いてさらなる検討を行う予定である。これらの対策により、初年度の目的が達成され、次年度以降の研究予定の課題を開始できるものと考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
高尿酸血症モデルラット作成の際、おそらく投与量の不足により、緩徐な組織障害しか認められず、さらなる検討に予定していた試薬や抗体の購入にまで至らなかったため、次年度使用額が生じたと考えられる。また、研究代表者が留学中でもあり、代理教員と所属長と密に連絡を取り合って研究を遂行しているが、データの確認、検討に通常よりも時間がかかっていることも理由の一つと考えられる。 高尿酸血症モデルラット作成時のoxonic acid投与量を変更することにより、初年度の目標を次年度に高用量で繰り返すことになる。そのため、繰り越した分は、初年度の目的達成のために、使用する予定である。
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