研究課題/領域番号 |
25460664
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
内田 友二 崇城大学, 薬学部, 准教授 (70433026)
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研究分担者 |
木村 円 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, トランスレーショナルメディカルセンター 臨床研究支援部 早期・探索的臨床試験室, 室長、病棟医長 (60433025)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ピルフェニドン / コラーゲン1 |
研究概要 |
まずピルフェニドンが線維芽細胞に細胞毒性を与えない至適濃度の確認を行った。ジメチルスルホキシド(DMSO) を溶媒として、ピルフェニドンを10(-1)μmol/l~10(4)μmol/lの範囲になるように、10倍ずつ希釈していき希釈系列を作成した。調製したそれぞれの濃度のピルフェニドン溶液を、線維芽細胞のセルラインである3T3NIH細胞および3T6細胞に対して、low-glucose DMEM 培地中に添加した。添加後24時間または48時間培養を継続した後に、CellTiter 96 Proliferation assay を用いて、450nmの吸光度値を指標としてそれぞれの細胞の生存率を調べたところ、ピルフェニドンの濃度が10(4)μmol/lでは細胞生存率が明らかに低下した。また、細胞形態を光学顕微鏡で検鏡したところ、生細胞においても明らかな形態学的変化を認めたために、この濃度では細胞毒性が発現していると判断した。一方、ピルフェニドンの濃度が10(-1)μmol/l~10(3)μmol/lでは、細胞生存率の低下は認められず、検鏡での形態学的な変化も明らかでなかったため、以後の実験では、少なくとも10(3)μmol/l以下の濃度で実験を継続することとした。 次に、培地中の最終濃度が0(negative control), 10(1)μmol/l~10(3)μmol/lになるように調製したピルフェニドンを上記2種類の細胞に24時間または48時間添加した。dish内の細胞を回収して細胞内のタンパクを抽出した上でChondrex社の Mouse type1 collagen detection kit を用いて、コラーゲン1タンパク量の定量を行った。その結果、ピルフェニドンの濃度によるコラーゲン1タンパク量(合成量ー分泌量と考えた)の差は認められなかった。念のために、細胞内ではなく細胞外すなわち培地中に分泌されたコラーゲン1タンパク量(分泌量)も検討したが、分泌量は、ピルフェニドンの濃度に関係なく、検出感度以下であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献では有為差が生じるとされており、当初本研究を進めていく上で第一の評価指標と考えていた、ピルフェニドンの濃度の違いによる線維芽細胞内で合成されるコラーゲン1タンパク量に明らかな差が確認できないため。
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今後の研究の推進方策 |
1. コラーゲン1については、検討項目として、細胞内で合成されるタンパク量だけではなく、mRNAやアミノ酸分析なども検討する。 2. ピルフェニドンによる治療効果の指標として、コラーゲンを指標とした線維化抑制作用だけではなく、各種サイトカインなど炎症に関係するタンパクの変化も解析内容に加える。ピルフェニドンによる炎症性サイトカインの抑制作用や抗炎症性サイトカインの亢進作用を解析する際にも、評価指標はタンパクだけではなく、定量的RT-PCRを用いてmRNAも解析対象とする。 3. 上記の方策によってもどうしてもピルフェニドンでは治療効果が確認できない場合には、ピルフェニドン以外の薬物も対象薬物に加えて、本研究を継続することを考慮する。
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