研究課題
白血球のひとつである「好酸球」は血管内から炎症の起こっている部位に移動し、活性化することにより組織を傷害する顆粒蛋白を放出してアレルギー性炎症を慢性化させている。特に好酸球が関与している難治性喘息、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性肺炎、好酸球増多症候群、好酸球性食道炎、好酸球性中耳炎・副鼻腔炎といった疾患は、強力な抗炎症薬であるステロイドにもしばしば抵抗性であり、これらの病態の解明は新しい治療戦略を確立する上でも重要である。アレルギー炎症組織や分泌液中では、好酸球が脱顆粒を伴って細胞死をきたしていることが古くから知られていたが、この細胞死の本態は長い間不明であった。病理組織と末梢血から分離した細胞を用いて検討を進めた結果、活性化に伴って特殊な細胞死(Extracellular trap cell death:ETosis)であることを解明した。ETosisのメカニズムはカルシウム流入とNADPH oxidaseを介しており、プログラムされた細胞死であった。ETosisは生体内では脱顆粒の一形態として重要であり、炎症を増強している可能性が示唆される。 また、ETosisでは核内のクロマチン線維が網状に放出される(DNA traps)が、特に好酸球性副鼻腔炎や中耳炎における分泌液の粘性に関与していることが明らかになり、J Allergy Clin Immunol誌に報告した。
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J Allergy Clin Immunol.
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