研究課題/領域番号 |
25460672
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
中里 享美 群馬大学, 保健学研究科, 准教授 (80241909)
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研究分担者 |
中嶋 克行 群馬大学, 保健学研究科, 客員教授 (10444051)
長嶺 竹明 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (90180520)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | メタロチオネイン-Ⅰ/Ⅱ / メタロチオネイン-Ⅲ / ELISA / メンケス病 |
研究実績の概要 |
昨年度、我々が新たに開発したメタロチオネイン(MT)-Ⅲ測定ELISA法を用いた血清MT-Ⅲ測定の検討でみられたヒト血清での不安定で非特異的な反応についての再検討を引き続き行った。血清中でMTと結合し、ELISAによる測定に影響していると考えられる物質について、Megalin等いくつかの候補物質のMTとの結合、含まれる分画など検討を行ったが、問題の解決には至らなかった。そこで、これらの物質の影響を受けにくい新たな抗MT-Ⅲ抗体の設計とELISA法の構築にむけた検討を始めた。 本MT-Ⅲモノクローナル抗体と以前に作成したMT-Ⅰ/Ⅱポリクローナル抗体を用いた免疫染色やMT-Ⅰ/Ⅱ測定ELISA法により、前立腺生検材料の免疫染色と同患者の血中及び尿中MT-Ⅰ/Ⅱ濃度の比較検討を行った。その結果、前立腺がん組織では、MT-Ⅰ/Ⅱ陽性率とPSA陽性率に正の相関が認められたが、非がん部組織では相関はみられなかった。前立腺がん患者の尿中MT-Ⅰ/Ⅱ値と血中PSA値とに正の相関の傾向が認められ、前立腺がんにおいては尿中MT-Ⅰ/Ⅱ値測定が有用である可能性が示唆された。 また、ウィルソン病及びメンケス病患者の血中MT-Ⅰ/Ⅱ値をELISA法で測定した。その結果、ウィルソン病及びメンケス病患者ではMT-Ⅰ/Ⅱ値測定が有意に高値を示した。特に、メンケス病においては血清銅、亜鉛、セルロプラスミン値に異常値を示さなかった患者でも血清MT-Ⅰ/Ⅱ値は正常者に比べて有意に高値を示し、血中MT-Ⅰ/Ⅱ値測定がメンケス病の早期診断のマーカーとしても有用である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
MT-Ⅰ/Ⅱ値測定については、前立腺がんやウィルソン病及びメンケス病などにおける発現や血中・尿中濃度の測定を行った。しかしながら、MT-Ⅲについては、前年度に引き続き、MT-Ⅲ測定ELISA法の再検討を進めてきたが、未だ解決に至っておらず、血清等のMT-Ⅲ濃度測定が実施できていない状態である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、MT-Ⅰ/Ⅱについて、さらに種々の疾患におけるMT発現の意義の解析を行うと同時に、MT-Ⅲについては新たな抗MT-Ⅲ抗体の作製も含めてELISA法の確立を目指し、生体試料中のMT-Ⅲ濃度測定が可能となるよう検討を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度に続いて、MT-Ⅲ測定ELISA法の再検討を行ったため、ELISAによるMT-Ⅲ測定に使用する試薬やプレート等の消耗品の購入が予定していたよりも少なかったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
今後、新たなMT-Ⅲ測定ELISA法の開発のための試薬・消耗品やMT-Ⅲが測定可能となった場合の試薬・消耗品の購入を行う予定である。
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