研究実績の概要 |
1)多発性骨髄腫における塩基除去修復多型解析 多発性骨髄腫患者(MM) 93名と健常者131例に対して、塩基除去修復遺伝子のOGG1 Ser326Cys, XRCC1 Arg399Gln, APE1 Asp148Glu and MUTYH Gln324Hisのほか、PARPI Val762Alaの多型解析を今年度実施した。OGG1Cys/Cys型(低活性型)が、MM患者群が健常者群より多かった。また、PARP1は、MM患者群では健常者コントロール群に比べてV / V型(高活性型)が有意に少なく、V / A型が有意に多かった。OGG1多型やPARP1多型が多発性骨髄腫の発症リスクに影響することが示唆された。塩基除去修復遺伝子多型と骨髄腫の病態リスクの関連も示唆された。結果を日本血液学会で発表した。論文化予定である。
2) 多発性骨髄腫における塩基除去修復遺伝子の発現解析 正常形質細胞、多発性骨髄腫患者検体の骨髄腫細胞、多発性骨髄腫の細胞株を使用し、OGG1, APE1, MUTYH, XRCC1, POLB, PARP1の塩基除去修復遺伝子の発現をreal-time PCR法で検討した。すべての細胞で発現が確認された。細胞株による発現量の相違が見られた。また、患者検体の骨髄腫細胞は、正常形質細胞に比較して、OGG1, APE1, MUTYH, XRCC1, POLB, PARP1mRNAの発現が2-20倍の上昇が見られた。また、OGG1とAPE1には、蛋白発現量をWestern blot法にて検討した。OGG1とAPE1の発現ベクターを作製し、コントロールにおいた。OGG1は、陽性コントロールである発現ベクター細胞株は著明な上昇が見られたが、MM細胞株は、低発現であった。また、APE1は、すべての細胞株において発現が確認された。 ほかに遺伝子に関しては、検討予定である。骨髄腫の病態に塩基除去修復遺伝子発現の異常が関与している可能性が示唆された。今後、骨髄腫細胞株を使用して、塩基除去修復遺伝子の発現と抗がん薬感受性、塩基除去修復遺伝子発現と8-ハイドロキシグアニン量について、検討する予定である。
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