研究実績の概要 |
モデルマウスの病理所見: 脂肪肝・非アルコール性脂肪肝炎のモデルマウスにおける肝組織では、2~10 μm程度の多数の脂肪滴の存在が確認された。また進行した肝疾患のモデルマウスでは、主として門脈域における網目状の線維増生が認められ、いわゆる肝硬変の像を呈していた。以上の所見は、臨床例での単純性脂肪肝や種々の段階の非アルコール性脂肪肝炎に相当するものであり、使用したモデルマウスにおける肝組織所見の妥当性が確認された。 超音波インピーダンスマッピング: 次に、視覚的に音響特性の差を表現する目的で、インピーダンスを色調別に示したマッピングを作成して肝組織を観察した。まず正常肝では赤を基調とした均一なインピーダンスパターンを呈した。脂肪肝・非アルコール性脂肪肝炎の肝組織には、黄色で表現される多数の類円形構造パターンが描出され、脂肪滴に対応したものと考えられた。一方、線維化進行例の肝組織において、線維に相当する構造はインピーダンスパターンとして認識することはできなかった。これは、線維化の程度が高度ではなかったこと、線維の存在によって反射波を十分に受信できなかったこと、また80-MHzのトランスデューサにおける分解能が十分でないことなどが要因と思われ、今後の検討課題と考えられた。 組織インピーダンスの定量的検討: 非アルコール性脂肪肝炎では、その他(正常肝、単純性脂肪肝)に比べて肝組織のインピーダンスが有意に低値(F(3, 677958) = 86970.16, p < 0.000; N=30, One-way ANOVA and post hoc multiple comparison Tukey tests)であった。
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