研究課題/領域番号 |
25460675
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
清宮 正徳 千葉大学, 医学部附属病院, 主任臨床検査技師 (20554265)
|
研究分担者 |
野村 文夫 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80164739)
松下 一之 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90344994)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | clathrin heavy chain / 免疫組織化学染色 / 病理組織診断 / 腫瘍マーカー |
研究概要 |
原発性肝細胞癌の病理組織診断における腫瘍マーカーとして有用であることが判明した蛋白質、Clathrin heavy chain(以下CHC)は、これまでの我々の研究で、多くの種類の癌の組織中で強く発現しており、さらに食道上皮内腫瘍の病理組織診断においては、CHC蛋白の免疫組織化学染色を行うことが腫瘍の良・悪性の鑑別に有用である可能性が示唆されている。今回さらに他の上部消化管腫瘍の良・悪性の鑑別における有用性を調査するため、tissue array を用いた検討を行った。症例の内訳は咽頭(良性13、悪性48)、扁桃腺(良性27、悪性14)、鼻腔(良性22、悪性27)、耳下腺(良性60、悪性20)、舌(良性16、悪性59)、口腔(良性58、悪性102)である。その結果、CHC蛋白が陽性または強陽性を悪性とした時の感度・特異度は咽頭で75%・77%、扁桃腺で21%・63%、鼻腔で37%・59%、耳下腺で80%・28%、舌で93%・63%、口腔癌で61%・52%であり、咽頭、舌、口腔においてCHCの免疫組織化学染色が腫瘍の良・悪性の鑑別に有用である可能性が示唆された。またこれらの3組織においてCHCの強陽性を悪性とした時の感度・特異度は咽頭癌で44%・100%、舌癌で56%・94%、口腔癌で30%・90%といずても特異度が上昇した。 一方癌において強く発現しているCHCやそれに対する自己抗体が、癌患者の血液中で増加する可能性があると考え、血清中のCHCおよび抗CHCの検出を行った。その結果、癌患者血清と健常者血清中のCHC蛋白量に有意な差は認められなかったが、血清中抗CHC抗体量は、健常人および肝硬変患者に比べ、原発性肝細胞癌患者で明らかな高値傾向を示した。現在抗CHC抗体の連続測定ためのELISA開発における基礎検討を実施している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CHC蛋白の組織染色は、食道上皮内癌の組織診断マーカーとして有用性が高いと考えられていたが、今回更に咽頭癌、舌癌、口腔癌においても有用である可能性を見出すことができた。抗CHC抗体を測定するためのELISAでは、従来より使用していたCHC蛋白の発売中止に伴い、新規CHC蛋白を用いたELISA開発のための基礎検討を行う必要が生じた。
|
今後の研究の推進方策 |
咽頭癌、舌癌、口腔癌における組織診断マーカーとしての有用性の検討を当院外科的切除組織を用いて行う。また新規CHC蛋白を用いたELISA開発のための基礎検討を行った後、各種癌患者血清中に存在する抗CHC抗体量を測定し、新規腫瘍マーカーとしての有用性を検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
ELISAの再開発が必要となったため、ELISA用プレートや試薬の発注を2014年度に持ち越した。 ELISA用プレートや試薬に使用する予定
|